2015年1月から相続税増税が控えている。資産家芸能人や政治家たちの相続事情にも興味がわく。
人気ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』などで活躍した俳優・宇津井健さんは今年3月に亡くなった(享年82)。2006年に妻に先立たれていた宇津井さんは、亡くなる当日に知人女性(80歳)と入籍した。
亡くなる当日の入籍とはいえ、配偶者になれば相続の優先順位は1位となり、配偶者は50%を相続する権利を有する。
10億円ともいわれた遺産の行方が注目されたが、再婚相手の女性は「相続放棄する」ことを宇津井さんと約束していたという。相続問題が家族間トラブルを起こしかねないことを、宇津井さんは心配していたのだろう。
政界では昨年、庶民とはケタ違いの相続劇があった。鳩山由紀夫・元首相と鳩山邦夫・元総務相の母で、ブリヂストン創業者の故・石橋正二郎氏の長女である安子さんが13年2月に亡くなった。安子さんはブリヂストン株式など300億円ともいわれる莫大な資産を保有していた。
相続税の額は発表されていないが、邦夫氏は納税のためにブリヂストン株約29億円分を売却していたことが今年6月の資産公開で明らかになっている。兄の由紀夫氏は、一族の象徴でもある鳩山会館を相続した。
日本の相続税は、富裕層には特に重く「3代で資産はなくなる」といわれる。石橋正二郎氏から数えて3代目、2人は資産を守れるのだろうか。
※週刊ポスト2014年8月8日号