2015年1月からの相続税増税で、課税対象者は従来の2倍超になるといわれており、東京に限れば、2人に1人が申告対象になるという。そうした中、相続税の節税テクニックが注目を集めている。
たとえば同居している親が亡くなった場合などには、親名義の土地の相続評価額が80%減となる「小規模宅地等の特例」を活用することができる。いくつかの要件を満たせば、親と別居したままでもこの特例を受けることは可能だ。
しかし、地方に住む親が広大な土地を持つ場合、対策は異なってくる。「評価額80%減」の特例は、適用できる土地の広さに上限があるからだ。
現在は240平方メートルまで、2015年1月からは330平方メートルに拡大される(住宅用の土地の場合)。これは今回の“大増税改正”で納税者側のメリットになる数少ない変更点だ。
地方で1000平方メートル以上の広大な土地を持っている人は少なくない。仮に1000平方メートルの土地が1億円相当だとすると、330平方メートル分しか「評価額80%減」特例の対象にならず、節税メリットは小さい。それを坪単価の高い大都市圏で買い換えて同じ1億円相当の330平方メートルの土地にすれば、特例をフル活用できる。
年老いた両親の中には「老後は子供たちの近くに住むのが安心。通院や買い物などは都市部が便利」と考える人も多い。
地方で広大な土地に暮らす父と母を都市部に呼び寄せ、一緒に新たな生活を始める──そんな選択肢を考えてもいいだろう。
※週刊ポスト2014年8月8日号