昨年は2000年の統計開始以来、過去最多の2万1089件が認知されたストーカー被害。そんな中、ストーカーの被害相談などを行うNPO「ヒューマニティ」理事長で、『「ストーカー」は何を考えているか』(新潮新書)の著書がある小早川明子さんは「交際前から注意すべき」とアドバイスする。
「一見、真面目で律儀そうで、約束を破られると一転して激高したり、メールを返信しないと怒るタイプは要注意。用事がないのに1日5回以上メールを送ってくる男性などもストーカーに多いです」(小早川さん)
また、法政大学文学部(犯罪心理学)教授の越智啓太さんは「同性の友達」に着目する。
「ストーカーはプライドが高く周囲となじめず、同性の友達が少ない。その分、自分を認てくれる数少ない人間に過剰に入れ込みます。『おれは医学部卒』などと見栄を張ってウソをついたり、メールを盗み見したりするなど監視癖のある人間も注意したい。寂しいから早く恋人がほしいと交際を始めるのではなく、ある程度時間をかけて相手を見極めるべきです」
残念ながら見極められず、ストーカー化するタイプの人間とつきあってしまった場合はどうしたらよいか。ストーカー犯罪の多くは別れ話がきっかけとなる。交際を終わらせる時は充分な注意が必要だ。
小早川さんはストーカーの「危険度」を3段階に分類する。初期段階の「リスク」は破局後、しつこく復縁を迫ってきたり、「離れたくない」などのメールを送ってきたりする段階だ。
「この段階なら個人で対応できます。まず、貸し借りを清算して、相手に『別れたい』と明確に伝える。以後、ふたりきりになることは避けます」(小早川さん)
それでも執拗に「死ぬ」「誠意を見せろ」というメールが送られてきたり、勤め先で待ち伏せされたりすると第2段階の「デインジャー」に進行する。
「この段階では当人が対応するのではなく、第三者の介入が必要です。ただし、新しい恋人や血気盛んな父親を参加させるのは逆効果なので、カウンセラーや弁護士など専門家に相談しましょう。家族や学校などに報告し、緊急時の態勢を整えておくべきです。警察に警告の発令を申し出るのも選択肢に入れなくてはなりません」(小早川さん)
メールの文言が「殺す」「人生を破壊する」など脅迫レベルになり、度重なる待ち伏せや住居侵入があれば最終段階の「ポイズン」に達する。最悪の場合は殺人事件が起こりかねない段階だ。
「子供が被害に遭って心配だったら親が学校や職場に送り迎えをして、決してひとりにさせない。警察が関与して加害者の音沙汰がなくなっても、彼らは潜伏するので安心してはいけません。たとえ逮捕されても逆恨みして釈放後に犯行に及ぶケースもあります。本当に問題を解決するには、ストーカーが加害者更生プログラムを受ける仕組みづくりが必要だと思います」(小早川さん)
※女性セブン2014年7月31日・8月7日号