綾小路きみまろが、爆笑夫婦ネタを五・七・五の川柳にまとめた新刊が発売された。ありそうでなかった川柳+ライブの決定版、題して『きみまろ「夫婦川柳」傑作選』。今回は、その中に収録されなかった傑作を紹介しよう。
【結婚式 『三つの袋』で ご愁傷様】
部下に頼まれ、ご夫婦で出席してスピーチのご主人。日ごろ家庭でアウェー状態だけに、きちんと挨拶し、奥様からの評価を上げたいと文面を考えます。
「奇をてらうより、オーソドックスでいこうかなぁ」。挨拶の定番といえば「結婚生活で大切なのは、お袋、給料袋、堪忍袋……」の『三つの袋』です。今では「胃袋(料理)」「金玉袋(子宝に恵まれる)」を加えたりするそうですが、このご主人、「定番だから、先に挨拶した人にいわれる可能性大だ」と、他の挨拶も考えていきました。
ところが誰も『三つの袋』の挨拶はナシ。「よ~し、金玉袋で笑いを取ろう!」と「え~、結婚で大切なのは、まず金玉袋」。会場は大爆笑。「やった~!」。ところが、しっかりと覚えてこなかったので、次のふたつが出てきません。「え~っと、袋……袋……」。思わず、今日乗ってきた電車の駅名が。「沼袋と池袋です」。
会場はジョークだと思って、またもや大爆笑ですが、一人、奥様だけがムスッとした表情で、席に戻ると「バッカじゃないの。呆れた! 恥ずかしさをグッと我慢してた私の気持ち、わかる?」。その奥様の言葉に「アッ、もうひとつは堪忍袋だ!」と気付いたご主人だったのです。
※週刊ポスト2014年8月8日号