漫画家で作家のみうらじゅん氏(56才)が、週刊文春の連載で書き続けてきたエロ話80本をまとめた新著『人生エロエロ』を出版した。
《人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。》──毎度このフレーズで始まる80話には、日常でわき起こるエロ心があけすけに綴られている。卑猥な言葉がド直球で飛び交うが、明るくてくだらない面白いエロ話にクスッと笑わされる。
「エロスみたいに高尚じゃないし、卑猥という文学的香りもないし、スケベみたいに軽々しくもない。エロという文字には、男を妙に惹きつけるものがあるんですよね」
エロの定義をこう語るみうら氏。本書に綴った自身の“恥ずかしい話”の数々は、世の同世代の男性にとってもイコールといえるという。周囲の男性から「よくあんな恥ずかしいこと書けたね」と言われる一方、読者から多数の共感を得た。
「堂々と書けることはエロじゃないから。やっぱり、後ろメタファー(後ろめたさに通じる、著者の造語)が出てない限りエロじゃないと思うんで、恥ずかしいけど書くしかないですよね。ぼくは50才を過ぎたあたりで、正しいおじさんになれなくてどうやらおばさんの方にいっちゃったのかもしれません(笑い)。男らしかったらこれは書けないんじゃないですかね」
本書は実は男性以上に女性ウケが抜群で、これまで100冊以上の本を出してきて何も言わなかった故郷の“オカン”からも「すごくおかしい」と褒められたという。
「人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた」のは、なにも“エロな人”として認知されている自分だけではないとみうらは強調する。
「3分の2というのも少ないぐらい。口に出す男はいないけれど、これは一般論であると思っていただかないと困るんですね(笑い)。あくまでぼくだけじゃない。エロの汚名を着る覚悟で、正直な話が書きたかったんです。ぼくは別に性豪でもないし“風俗”が得意ってわけでもない。標準だと思うんですよ。でも、こんな恥ずかしいことを書くのは、誰もやらない。だから、女性に陳情する気持ちで本書を綴りました。男の取説がこれです、と。脳と股間の連動の仕方さえわかっていただければ、今後、男女は、かなりうまくいくとぼくは思うんです」
※女性セブン2014年8月14日号