7月27日に佐世保で、16才の女子高生・A子が同級生の松尾愛和さん(享年15)を自宅で殺害し、遺体の首と手首を切断した容疑で逮捕された。腹部は大きく切り開かれており、その異常性から報道が加熱している。
佐世保市では2004年に、小学校6年生の御手洗怜美ちゃん(当時12才)が同級生女児にカッターナイフで首を切り裂かれて死亡するという凄惨な事件が起きている。
これを受けて、市では“命の大切さ”を考える教育に力を入れてきた。7月16日、A子は、この授業において『命・人権・いじめを考えるワークショップ』のレポートを提出していた。その直後、彼女は松尾さんの殺害に使った凶器をマンションから徒歩30分ほどの場所にあるホームセンターで購入したとみられている。
●テストハンマー:打音検査などで使うようなハンマー。
●石工用ハンマー:叩いて石を砕く強力なハンマー。
●スレート・のこぎり:瓦や塀に使われるスレートを切断するアイテム。
いずれも500~1000円程度で誰でも購入できるもの。ただ3点同時購入ではなく、7月23~25日にかけてひとつずつ購入しているという。
これらの事実が示す「計画的な犯行」の動機について、臨床心理士の矢幡洋氏は、こう語る。
「遺体をバラバラにするといった強固で残虐な意志があって、被害者はたまたま誘えば疑わずに来てくれる相手だったと思うんです。中学からの同級生とか、加害者にとってはほとんど意味がない。後頭部を何度も殴打して首を切るまでは相当時間がかかるものです。普通の人であれば嫌悪感が生じたり、怖くなったり、途中で続けられなくなりますが、彼女はそうでなかった」
犯行は午後8~10時頃と見られており、遺体発見は午前3時過ぎ。その間少なくとも5時間、最長7時間、10畳のワンルームで、A子は変わり果てた同級生と対面していたことになる。また警察がマンションへやってきた時、A子は血がついていない服に着替えていたという。
一方で、そのとき部屋に残してきた松尾さんの遺体はあおむけの状態で、布などはかけられないままベッドに横たわっていた。ハンマーはベッド脇に、のこぎりはベッドの上に置かれたままだった。
「そのあたりが人間的な共感性が欠落しているんです。まだ続けようという残忍な冷酷さが見られます。かっとなってやったことであれば一発で終わりですから。強い意志を持って準備していた。
もしかしたらひとり暮らしをした時から考えていたのかもしれない。女版酒鬼薔薇聖斗みたいな感じですね。加害者はもともと小動物を解剖したりする問題行動があったようですが、そういった衝動やそうした世界へ入り込む歯止めは親しい人である場合が多い。
酒鬼薔薇の場合は、犯行直前に愛犬が死んだり、大好きな祖父が亡くなっていました。今回の加害者は母親が亡くなっていますから、それがきっかけで、周りから孤立し、孤独な自分だけの世界に入り込んでしまった可能性もあるでしょう」(矢幡氏)
※女性セブン2014年8月14日号