今年1月に亡くなった淡路恵子さんを筆頭に、80才を超えても20代や30代女性と同じ活力がある女性が増えている。日本大学芸術学部教授(博士・パフォーマンス心理学)佐藤綾子さんは自身の体験をこう語る。
「先日、フジコ・ヘミングさん(81才)の演奏会に行ったのですが、腕をクロスしたトレモロもすばらしく、全16曲は暗譜。公演後、楽屋にお邪魔したら、ソファに座りこまず立って話をされている。かつての80代のイメージとは全く違うかっこよさでした」
そんなR80の魅力には育ってきた時代背景が関係しているという。
「そもそも戦争などでモノがない、満たされない時代を経験した人は、何かを得たい、実現したいという欲求レベルが高くて大きい。
人には自分で自分のしたいことを全うしたい、自己実現したいという“自律欲求”があるのですが、高齢者になるとそれができなくなっていきます。この自律欲求を全うしたい気持ちが高く、どうしたら最後まで実現できるかを考え抜いている人たちが、かっこいいR80の女性でしょう。
舞台に出たい、ピアノを弾きたい。そういう想いはゆずれない。だから人脈、お金など対価を払っても自律欲求を満たします。棺桶にはいる直前までそうありたいと思っているはずです」(佐藤さん)
数々の大女優への取材をしてきた篠藤ゆりさんは、R80女性のパワフルさは年下の自分が音を上げるほど、と言う。
「黒柳徹子さん(80才)は、フレンチレストランでの対談インタビューだったんですが、たくさんお話しされながらもコースを全て召し上がっていて驚きました。
画家の堀文子さん(96才)は、“何もなければ隣の部屋に移動するのも嫌。でも絵は自分でも驚くほどこんなに好きなんだって思えるの”と、今も精力的に作品を生み出し、毎年個展を開いてらっしゃる。すごい情熱ですよね。それと、男の人にも媚びないかたばかりで。男なんてしょうもない生き物ってバッサリ言われました(笑い)」
好奇心旺盛で、よく動き、よく食べ、自分の体をきちっとコントロールする。何か犠牲にしたことがあっても、凜としている。一度決断したらくよくよしない。その生き様は女前だ。
「女性はとくに年上の同性に憧れ、その憧れの対象に少しでも近づきたいと思う“モデリング効果”が強く働きます。この人がストレッチをやっているとか、毎日豆腐を食べているとか、憧れの人の習慣や持ち物を観察し、真似するようになるんです。
こういうR80になりたいと思ったら、まず心の底から“そうなりたい”と思うことですね。しゃんと背筋をのばして歩いていたいから足腰を今から鍛えておこうとか、好きなことを見つけておこうとか、80代の自分がどうありたいかをイメージできたら、今何をすべきかが自ずと見えてくるはずです」(佐藤さん)
カッケー人生のモデル、いただきました。
※女性セブン2014年8月14日号