佐世保で起きた高校1年生の同級生殺害事件。容疑者A子の父親の職業は弁護士。父親自ら娘の弁護をすることはありえるのかが注目される。
逮捕翌日の7月28日、A子は16才になった。近年凶悪化する少年少女の事件が相次ぎ、ここ数年の間で、少年法は改正された。フラクタル法律事務所の田村勇人氏はこう説明する。
「刑法において刑事責任を有するとされるのは14才以上です。犯行時16才以上の場合、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪については、原則逆送といって、原則として検察官に送致されます。14才、15才については、重大事件については逆送することになったので、今回のケースはまず逆送されることになります」
A子の父が弁護する可能性について、田村氏はこう続ける。
「付添人の資格に制限はないので、父親が弁護をすることも可能です。ただ、今回は望ましくないです。加害者の生活環境については、必ず裁判所が注目するところですが、15才の子供がひとり暮らし、そして留学の準備のために学校に行っていないということは通常ではない事態。
また母の死から数か月で再婚し、加害者がひとり暮らしを始めたという流れも、父親が加害者に悪影響を及ぼしたのではないかと見られます。法律上、彼が悪いことをしていないとしても、なぜ9月に娘が留学したいと言い出し、そのためにひとり暮らしをしたいと申し出たのか。その背後に後妻との関係があるんじゃないのか、という点は、誰もが疑いますよね。
今回のケースでは弁護士に、少年法や少年の保護、教育に関する客観的な知識が必要となってきますが、結果的に子供の犯罪を止められなかった父親では務まらないことになります」
本誌は事件直後、容疑者の父と再婚したB美さんから電話をもらったという人物から話を聞いた。
「B美は“迷惑かけてごめん”と泣きながら何度も謝っていました。私が“A子は一体どんな子なんだ”と聞くと、“実は最近、どんどん事態が変わっていた”と泣きじゃくっていました。
金属バットを振り回していたという報道もありましたよね…。相談していたカウンセラーさんは“お父さんと一緒にいると、彼女の敵意が向く可能性が高い”と言っていたようで、施設に入れることも考えたけど、職場から近いマンションなら、いつでも様子を見に行けるしということでひとり暮らしをさせたということだったそうです」
※女性セブン2014年8月14日号