中国・上海の食肉加工会社が、期限切れの鶏肉を使用していたことが大きな問題となっている。思い出すのは冷凍ギョーザに殺虫剤「メタミドホス」が混入され、日本人10人に健康被害が生じた2008年の毒ギョーザ事件だ。
しかし、この一件以降も隣国では度重なる“毒食品”が世間を騒がせている。
例えば毒殺したネズミや猫の肉を羊の油や香辛料に漬け、羊肉と偽って安く販売する業者が相次いで摘発されている。昨年、北京で路上販売のシシカバブを食べて中毒症状となり、病院に運ばれた男性の血液から殺鼠剤の成分が検出され、北京市民に衝撃を与えた。男性が食べたシシカバブは、ネズミや猫の肉を使っていた可能性が高いという。
病死肉の横流しも横行している。
“毒食品”の大半は中国国内で消費される。では、中国人の健康に影響はないのだろうか。
これまで報じられたケースでは、2004年にでんぷん、砂糖にミルクの香りづけをした偽粉ミルクで100人を超える乳幼児が栄養失調になって13人の乳児が死亡。2008年にはたんぱく質の含有量を多く見せかけるためにメラミン(プラスチックの原料)が混ぜられた粉ミルクを飲んだ乳幼児6人が命を失った。
2011年には豚肉の赤身を増すという添加物「痩肉精」を使用した肉を食した村民286人に動悸、嘔吐などの症状が出て、うち15人が重篤となったと報じられた。
だが、これらは氷山の一角だと北京大学に留学経験のあるジャーナリストの富坂聰さんは主張する。
「毒食品を最も口にするのは中国内の貧しい一般消費者です。人口規模からも相当数の健康被害があるはずですが、表に出ていません」
※女性セブン2014年8月14日号