佐世保市内の進学校に通う高校1年生・A子(16)がクラスメートの松尾愛和さん(15)を殺害した事件に日本中が震撼した。
佐世保では、2004年にも同級生殺人事件が起きた。市内の小学校の給食の時間に、6年生の御手洗怜美ちゃん(当時12)が同級生の女児(当時11)にカッターナイフで首を切り裂かれて死亡。それから10年後に起きた今回の事件では、A子は愛和さんを絞殺した後に、頭部と左手首を切断し、腹部を大きく切り開き、胴体に無数の切り傷や刺し傷を残したという。
A子は犯行を全面的に認めている。動機について、「中学生の頃から人を殺したい欲求があった」と供述。「猫を解剖するうちに人間で試したいと思うようになった」と明かしているという。
実はA子の自宅と中学校を結ぶエリアでこの3年間に少なくとも2件の「猫殺し」事件が起きている。
「3年前に保険会社の駐車場に住み着いていた子猫が殺されてバラバラにされたことがあった。1年ほど前にも猫の首が繁華街の裏通りに放置されていた」(地元住民)
住民の間には今回の事件を暗示するような「薄気味悪さ」が共有されていた。
A子は学業優秀でスポーツができる優等生だった半面、狂気を垣間見せる問題児の二面性を持っていた。A子一家と家族ぐるみの付き合いがあった知人女性が語る。
「初めてA子に会ったのは、彼女が1歳くらいの時。5歳上のお兄ちゃんはまだ小学校に上がる前でした。お父さんもお母さんも美男美女で、絵に描いたような幸福そうな家族でした」
A子の父親は地元でも有名なやり手弁護士で、早大卒。母親は東大卒の元テレビ局員というエリート一家だった。ともに長崎市出身で、結婚を機に母は父が住んでいた佐世保に移り住んだ。母はNPOを主宰し、同市の教育委員も務めていた。家族の共通の趣味はピアノや絵画、アイススケートと多彩だったという。
※週刊ポスト2014年8月15・22日号