安倍晋三首相は9月第1週に内閣改造と自民党役員人事を行なうと見られているが、主流派と反主流派の激突の最前線と見られるポストが「農水相」だ。二階(俊博)派の西川公也氏と石原派の森山裕氏という農水族の大物2人が争っている。
西川氏は首相の意を汲んで自民党TPP対策委員長としてTPPを推進したため首相の覚えめでたい。対する森山氏は自民党議員200人以上が参加する「TPP参加の即時撤回を求める会」会長でTPPに抵抗し、安倍政権の農協改革を骨抜きにするなど農協や族議員からの待望論が強い。
安倍首相が露骨な論功行賞で西川氏を農水相に起用すれば、農水族を敵に回しかねない。
「女の戦い」も激しい。女性登用を掲げる安倍首相は改造で4人前後の女性閣僚を起用すると見られる。「文部科学相」をめぐっては同じ町村派の橋本聖子氏と山谷えり子氏が争い、負けたほうが大島派の有村治子氏と「環境相」を奪い合う構図だ。
女性閣僚のシンボル「少子化担当相」はどうか。2児の母である小渕優子氏の呼び声が高いが、ここにきて首相側近で一昨年、第1子を出産した丸川珠代氏が急浮上。
「親中派で総理の靖国神社参拝に批判的な小渕氏は入閣しないとみられる。総理はむしろ、丸川氏を幼い子供を抱えながら社会でバリバリ働く女性の代表としてクローズアップさせて小渕人気をかき消したいと考えている」(町村派議員)という。
※週刊ポスト2014年8月15・22日号