8月5日、STAP細胞論文の著者のひとりで、小保方晴子氏(30才)に論文作成の指導を行っていた理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長(享年52)が、センター内の建物で自殺した。
「先端医療センターの建物の4階と5階の間の踊り場の手すりにロープのようなもので、首を吊っていたそうです。笹井さんは、研究着などは羽織っておらず、半袖シャツにスラックス姿だったようです」(全国紙社会部記者)
午前9時過ぎに巡回中の警備員に発見された笹井氏は、神戸市内の病院に運ばれたが、午前11時3分に死亡が確認された。理研関係者が、最近の笹井氏の様子について、こう話す。
「STAP細胞のねつ造が明るみに出てから、笹井さんは体調不良を訴えるようになり、心療内科に通っていました。精神的に相当参っているように感じました。仕事には来ていましたが、それまでのようなやる気に満ちあふれた様子ではなく、塞ぎがちでした。薬をのんでいたんでしょうね。呂律が回らず、何を言っているのかわからないこともありました」
4月16日に開いた記者会見では、「論文の書き直しに加わっただけ」と自身の責任はないと主張していた笹井氏。しかし、小保方氏が論文の写真を、別の論文の写真から転用したという事実を笹井氏は以前から知っていたにもかかわらず、調査委員会に報告しなかったことなどが次々明るみに出る。
すると理研の野依良治理事長(75才)は笹井氏に対して「立場上責任は重大」と発言。さらに理研が設置した外部有識者による「研究不正再発防止のための改革委員会」からは「辞任」を求められた。
「笹井さんは“覚悟はできてるよ。責任は取らなきゃ”なんて気丈なことを言いながらも、時には“いろんな報道がされてイメージが悪くなっている。自分ひとりが悪者になっている”なんて愚痴をこぼしたりと、心が不安定な状態にある感じでしたね」(別の理研関係者)
今回、笹井氏が死に場所に選んだのは、自分を追い詰めた“職場”だった。精神科医の和田秀樹氏はこう言う。
「一般的に自殺する場所というのは、その人の思いが大きい場所といえます。その場所を愛しているとか、恨んでいるとか。職場で自殺するということは、そこで働く人間に対して、当てつけのような思いがあったのかもしれません」
最終的に自分に責任をなすりつけた理研への“抗議”の意味が込められていた可能性もある今回の自殺。
理研は半官半民の研究機関のため、国からの多額な補助がある一方で、国を挙げてのプロジェクトも多い。
「笹井さんはそうしたプロジェクトを数多く抱えていました。すべてを自分ひとりでやるのは物理的に不可能です。ですから、有望な人材に任せなければならないんですが、もちろんすべてに目が行き届くわけではなく、データのひとつひとつを精査する時間の余裕がないのも実情です。笹井さんが小保方さんを寵愛していたのは間違いありませんが、だからといって、責任のすべてを押しつけられたのは、彼にしてみれば許せなかったのかもしれませんね。大切な愛弟子を守るためにも、最後の仕返しをしたのでしょう」(前出・理研関係者)
そして秘書の机の上に1通、自殺現場に3通の遺書が残されていた。
「その1通は小保方さんに宛てたものでした。“STAP細胞が再現できないのは、あなたのせいではない。STAP細胞を必ず再現してください”などと綴られていたようです」(前出・全国紙社会部記者)
※女性セブン2014年8月21・28日号