「言いたいことはあるんですが…でも…いいんです…。ぼくしか知らないことだったりしますし…」
長崎県佐世保市の県立高校1年の松尾愛和さん(享年15)を、同級生のA子(16才)が1人暮らしをしていたマンションで殺害した事件で、A子の兄はそう言うと口をつぐんだ。さらに、こんな驚愕情報が舞い込んできた。
《父親は妻が亡くなった後、娘を籍から抜いて、祖母と養子縁組した》
この事実に大きな衝撃を受けているのが、A子の父親が再婚したB美さんの身内だ。一家とは家族同然のつきあいで、「B美が赤ちゃんの頃から知っており、娘のように思っている」というC男さんが、ため息交じりにこう話す。
「とにかくショックでした。その話を聞いた直後にA子の父親と電話で話したら、確かにこの2月、A子を籍から抜いたと言っていました。相続税対策で合理的に行ったことで“A子も知っている。事件とは関係ない!”って言ってましたけど…。う~ん…。ぼくは全然わからない」
養子縁組に詳しい弁護士はこう説明する。
「相続のための養子縁組の理由としては、孫に多く相続させたいとか、相続の非課税控除分が相続する人数に応じて増えるため、相続人が増えれば、控除の額も大きくなるんです。資産が多ければそういうことを考える可能性もありますが、それでも戸籍は親子のままでいたいと考える方が多いのが実情です」
繰り返すが、A子の養子縁組は2月。奇しくも父親とB美さんの再婚直前という点に違和感を覚える。前出・C男さんが続ける。
「書類上の問題とはいえ、娘と縁を切るのと同じことでしょ? B美の両親は自営業ですから、それこそ税金対策なども考えますが、それと娘の籍を抜くというのは結びつかない。ショックを受けたB美は、少し前からカウンセリングに通い始めました。だって、そもそもこんな話は、結婚すると挨拶に来た時、全然聞いてなかったから…。しかもこれだけじゃない…」
そう言ってC男さんは苦悩に満ちた表情で、A子の父親へ募らせた疑念を語り始めた。A子の父親が東北出身のB美さんの地元を訪れたのは5月上旬のことだったという。父親とB美さんが出会った時期については、妻が亡くなった翌月説、今年1月説もある。
「ぼくは3月と聞いているから、そう信じたいけど、今は断言できない…。出会ったきっかけも、“婚活パーティー”だということを報道で知ったから、改めて聞いたら、B美は“どうしても子供が欲しい”という思いが強くなって婚活サイトに登録したっていうんです。彼とはメールのやりとりから始まったそうです」(前出・C男さん)
事件発覚後、新たに知らされた事実はそれだけじゃなかったとC男さんは言う。
「結婚に賛成していた」というA子が、B美さんと再婚する直前の4月から1人暮らしをしていた理由について、当初「留学の準備のため」と説明を受けていたが、事件後、衝撃の事実とともに伝えられる。その理由は、3月2日の夜、A子が父親の寝こみを金属バットで殴打、頭部が陥没するほどの重症を負ったことが始まりだったと知らされた。
「彼は歯が10本くらい折れるすごい状況だったんだけど、すぐ起きて、A子を止めたからそれ以上の事態にはならなかったって。ぼくが彼に初めて会ったのは、それから2か月後くらいだけど、包帯も巻いてなかったし、もちろん、そんなことがあったなんて話もなかった。B美は知っていたのかもしれないけど、そういう都合の悪い話をぼくたちには隠したんだね。“夫婦の秘密”にしていたんだ。
でも結局今になって籍の話まで聞くと、籍を抜いたのは2月だから、やっぱり3月の金属バット事件はそのことが原因だったのかもしれないって思う。
彼は50代の弁護士だから、もっと常識的にいろんなことを判断できなかったのかと、悔やまれます…。少なくとも、友達の命を奪う前になんとかできたんじゃないかって…」(前出・C男さん)
※女性セブン2014年8月21・28日号