2020年に開催される夏季オリンピックに向けて、様々な開発が始まりつつある東京の街。しかしその一方では、少子高齢化や、なかなか好転しない景気など、問題も山積みだ。特に2020年に高齢者となる50代後半の世代にとっては、不安も多いはず。
50代以上の女性をターゲットにした新雑誌『octo∞』(オクトアクティブエイジング)では、NOBORDER代表で自由報道協会事務局長の上杉隆氏が、2020年以降の東京を予想している。以下、抜粋して紹介する。
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変化があまりにも目まぐるしく、なかなか未来が見通せないこのご時世。そこでジャーナリストの上杉隆さんに、octo世代(50代以上の女性)が近い将来どのような状況に直面していくのか、2020年の東京オリンピックを区切りとしてシミュレーションしていただいた。
「眼に見える変化からいうと、東京オリンピックの開催が決まったことで、東京はインフラ整備が急ピッチで進みます。オリンピックスタジアムとなる新国立競技場が来年度、着工されるのを皮切りに、東京の湾岸エリアを中心として22会場が新設(注:舛添都知事は一部五輪会場計画を見直しする意向を表明している)。2年後をめどに築地市場が豊洲に移転したり、東京湾のゴミの埋立地を森に変える“海の森”プロジェクトも並行していて、湾岸エリアの景色はガラリと変わるでしょう」(上杉さん、以下同)
そのほかにも、首都高速の地下化が検討されているほか、お台場にカジノが登場する可能性も濃厚だ。
街が変われば、人々の気持ちもおのずと高まるもの。巷では“オリンピック景気”という言葉も耳にするけれど…。
「うーん、それはどうでしょう。確かに土木・建設業者などの公共事業の業者はうるおいます。ただ、オリンピックが開催されるからって、ほかの業者も景気がよくなるかといえば、そんな簡単な話じゃない。せいぜいオリンピック開催期間中に観光客が増えて売り上げが伸びるくらい? 6年後に備えて今から商品をつくりだめしておくわけにはいかないんだから(苦笑)。
それに、今の日本の財政状況でいえば、オリンピック開催までに消費増税があと数回あるでしょう。先日8%になったばかりですが、来年の秋、10%になるのはほぼ確実。その後も段階的に引き上げられて、2020年には17%くらいになるんじゃないでしょうか。消費増税すれば一時的に消費は冷え込むので、そういった意味でも景気がよくなるとはいえない。アベノミクスもそうそう長くは続かないと思います」
そもそも、オリンピックの開催翌年は不況になるというのが定説。北京でもロンドンでも、五輪前に大量の公共事業が前倒しされた南道で、五輪後はそれらの莫大な維持費に悩まされているのだとか。
「ただし、経済面では測れない、国民の生活が活気づくという影響はあるかもしれません。いちばんわかりやすいのはボランティア人口の増加でしょうか。子育てや仕事がひと段落したocto世代は、ボランティアにうってつけ。例えば通訳ボランティアは、1日限りの東京マラソンでさえ1000人規模。東京五輪では1万人を超えるでしょう。ちなみに、英語ボランティアはおそらく余るので、これから勉強を始めるつもりなら、スペイン語や、アフリカ諸国からのゲストに通じやすいフランス語通訳などが狙い目だと思いますよ」