今年の上半期において、ゴールデン帯(午後7~10時)、プライム帯(午後7~11時)、全日帯(午前6時~翌午前0時)のすべてで全局視聴率1位になるなど好調な視聴率をキープしている日本テレビ。一方、低迷が続いているTBS。両局の番組編成の違いを見ると、視聴率格差の一因が浮かび上がってきた。
日テレ人気を牽引しているのが、日曜日の番組ラインナップだ。朝7時30分からの生ワイド番組『シューイチ』、さらにはその後のトークバラエティー『誰だって波瀾爆笑』の両番組で2ケタに乗った後も堅実な数字を推移する番組が続き、夕方になると『笑点』、『真相報道バンキシャ!』、『ザ!鉄腕!DASH!!』、『世界の果てまでイッテQ!』、『行列ができる法律相談所』、『おしゃれイズム』、『有吉反省会』とこれまた常時2ケタをキープする番組が切れ目なく続く。
「日本テレビの強みは、番組を改編しないことです。それはもちろん結果論ですが、新聞の購読者数も減少している今、テレビ欄をチェックしてその日放送される番組をチェックする機会も減っています。そんな中、つけた瞬間以前と変わらない番組が放送されていることは安心感をもたらし、視聴習慣もつきます。
日本テレビはこの“習慣”の重要性を把握しているのでしょう、仮にある番組が打ち切りになっても、それがトーク番組であれば後枠もトーク番組にするなど、同じジャンルの番組を持ってくることで、視聴者の大幅な入れ替わりを防いでいるのです」(制作会社スタッフ)
先の『シューイチ』の枠も以前は『THE・サンデー』(後半は『TheサンデーNEXT』)という、同じような生放送ワイドショーを21年以上放送していた。『誰だって波瀾爆笑』も、芸能人の波瀾万丈物語で人気を博した『いつみても波瀾万丈』の要素を受け継ぐトーク番組である。またこの時代で、20%の高視聴率を獲得している『イッテQ』の放送枠である日曜夜8時は、かつては『天才たけしの元気が出るテレビ!!』が放送されていたバラエティー枠だった。
そんな日テレに対し、「後枠」に対する考え方がかなりドライな局がTBSだ。ある番組に見切りをつけると、後枠には、まったく別ジャンルを持ってくる傾向が強い。だが性急すぎて視聴者が追いついていない実態も浮き彫りになっている。
「例えば火曜よる10時。以前は『リンカーン』というダウンタウンをメインにしたバラエティー番組でした。その後番組『100秒博士アカデミー』も視聴率低迷で半年で打ち切られた後、TBSが新たにこの枠に持ってきたのはドラマ。橋田壽賀子ドラマ『なるようになるさ。』の続編でした。金曜よる10時で放送されて好評だったシーズン1を受けて始まったものの、結果は平均視聴率7.3%。7月にスタートした『東京スカーレット』もヒト桁台と低迷しています。枠移動による視聴者の混乱がいまだに影響しているものと思われます」(前・同)
かつて土曜よる8時のTBSは『8時だョ!全員集合』に代表される王道のバラエティー枠だったが、その後バラエティーが育たないと見切りをつけ、ドラマ枠にシフト。最初の『ルーキーズ』はヒットしたものの、あとが続かず、結局現在はバラエティー番組に落ち着いている。
各局に生まれている視聴率格差は、単に1つのテレビ番組の面白さだけではなく、ある番組が打ち切りになったあと、いかにそれを見てくれていた視聴者をとりこぼさずに、後番組にそのままシフトさせるか、編成の手腕の差、という見方もできそうだ。