投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、8月11日~8月15日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、ウクライナ情勢や中東情勢に警戒しつつ、日本の4-6月期の国内総生産(GDP)速報値に注目する展開となる。ウクライナの紛争が激化した場合、イラクが内戦に陥った場合、パレスチナ紛争が激化した場合は、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
しかしながら、日米の金融政策の乖離観測や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待は維持されており、ドルの下値は限定的と予想される。
【日本の4-6月期国内総生産(GDP)速報値】(13日)
日本の1-3月期のGDP速報値は、前期比年率-7.1%と予想されており、消費増税の影響を受けて1-3月期の+6.7%から大幅に悪化することが見込まれている。2015年10月の消費増税(8%⇒10%)の判断材料は、2014年7-9月期のGDPとなることや、日本のインフレ率が上げ渋る展開となっていることで、日本銀行の追加緩和観測が高まることになる。
【中東の地政学的リスク】
イラクでは、オバマ米大統領がアルカイダ系の武装組織に対して限定的な空爆を承認したことで、オバマ米政権の中東からの撤退シナリオが逆戻りする可能性、シリアやパレスチナ情勢も絡んで、中東全域での地政学的リスクが高まりつつある。イラクが内戦に陥った場合、原油価格が上昇することで、原発稼動停止で原油輸入の依存度が高い日本経済にはマイナス要因、貿易赤字の拡大により円安要因となる。
【ウクライナ紛争】
ポロシェンコ・ウクライナ政権と親ロシア武装勢力との武力衝突が激化しつつあり、欧米によるロシアへの懲罰的追加制裁、ロシアによる報復措置、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性などが高まりつつある。ウクライナ東部での紛争が激化した場合、リスク回避の円買い圧力が強まることになるが、第2次冷戦の構図からは「有事のドル買い」となる可能性にも警戒することになる。
8月11日-15日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。