国内

朝日慰安婦虚報「早く正せば深刻な日韓関係にならず」の指摘

 いわゆる従軍慰安婦のデマは、いまや世界中に拡散し、欧米では「慰安婦=性奴隷」という誤ったイメージが定着してしまっている。その原点は、朝日新聞が報じた強制連行の「誤報」だろう。

「自分は朝鮮半島で950人の女性を強制連行して慰安婦にした」とウソの告白をした著述業・吉田清治氏(個人)に騙されたのは事実だが、そもそも朝日新聞の報道姿勢に疑問を投げかけるのが、元ソウル特派員として慰安婦問題を取材した記者の前川惠司氏(現ジャーナリスト)だ。

 * * *
 朝日新聞が慰安婦問題で、「挺身隊と慰安婦をごちゃ混ぜにして報じた」と、批判され、矢面に立っているのが、大阪本社発行の朝日新聞1991年8月11日付の「思い出すと今も涙 元朝鮮人従軍慰安婦 韓国の団体聞き取り」だ。

 このソウルから植村隆記者が報じた記事は、元慰安婦の一人が初めて公に名乗り出たことを報じたものだが、批判されているのは、

<日中戦争や第二次大戦の際、「女子挺身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、一人がソウル市内に生存していることが分かり>

 としたくだりだ。年配の方はよくご存じだろうが、「女子挺身隊」とは、戦時中の国家総動員体制で、工場に働きに行かされた14歳以上25歳以下の若い女性たちの勤労奉仕隊のことで、慰安婦とは無関係のものだ。

 どうしてそんな錯覚が、そのまま何重ものチェックを通って紙面に載ってしまったのか。もっとも、この記事は、翌日の東京本社発行の朝日新聞にも載っているが、こちらでは字数は半分近くに削られ、問題となる、「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」の部分は削られている。

 だが、「その後の紙面でも女子挺身隊を慰安婦とした記事がなくならなかった」と、強烈に批判されている。どうして、そんなことになったのか。

 こんな単純な間違いは、正直なところ、とっくに訂正記事が出ていると思っていたが、すでに20余年にわたって慰安婦問題が日韓の大懸案となり、津波のような報道が何回か、大波が押し寄せて来ては、引いていくように繰り返しなされるなかで、挺身隊と慰安婦を混同したかのような記事の存在が、1995年の慰安婦を「強制連行された性奴隷」と認定した国連クマラスワミ報告や、2007年の慰安婦に対する日本政府の謝罪を求めた米下院121号決議などにつながったとしたら、報道の在り方として、大きな問題なのは、当然だろう。

 もっと早い段階で誤りを正しておけば、これほどまでの深刻な日韓関係をもたらさなかったし、日本の国家イメージが国際社会でダメージを受けかねない事態を招くことはなかったという主張だ。

※SAPIO2014年9月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン