汚職などの腐敗問題で中国共産党の党籍剥奪処分を受け、今後、軍法会議で裁かれる予定の徐才厚・元中央軍事委員会副主席(軍のナンバー2)が、習近平国家主席の無二の親友で厳しい腐敗追及で知られる劉源・軍総後勤部政治委員を4回も暗殺しようとしていたことが分かった。香港誌「動向」が報じた。
徐氏はすでに腐敗容疑などで党籍剥奪処分を受けている谷俊山・元総後勤部副部長と親しく、谷元副部長から多額の賄賂を受け取っていたことが軍事委規律検査委の調べで分かっている。
同委が徐氏の自宅や別宅などを調べたところ、中国の国有銀行5行に17の口座をもち、総額で3億3500万元(約53億6000万円)もの預貯金があったほか、外銀5行に10口座、計2億2200万元、さらに地方銀行6行、12口座に計4億300万元と預貯金総額は9億6000万元(約153億6000万円)に上る。
また、長女の名前で北京、大連、済南、珠海など5件もの不動産物件を所有、妻の名義で20件、娘の名義で15件のマンション物件、推定総額で5億元(約80億円)は下らないという。これらを含めて、隠し財産は少なくとも16億元(約256億円)に達する。
だが、これはまだ氷山の一角といわれており、調べが進めば、全貌が明らかになるはずで、一説には100億元(約1600億円)ともいわれる。
これらの腐敗を暴いたのが劉源氏だ。劉源氏は毛沢東主席の政敵として文化大革命(1966~1976年)で失脚した劉少奇・元国家主席の長男。
劉氏は2011年当時、総後勤部内で部下だった谷元副部長の汚職を徹底的に調べ上げたほか、当時の郭伯雄・軍事委副主席や梁光烈・国防相が結託していることを突き止めた。