今年、40才を迎えた有吉弘行。レギュラー番組が軒並み高視聴率を記録しながらも、その舌鋒は未だ衰えることはない。まさに惑うことのない「不惑の男」である。そんな有吉が尊敬するいわば「毒舌の先輩」が、毒蝮三太夫だという。
TBSラジオ平日朝のワイド番組『大沢悠里のゆうゆうワイド』内の生中継コーナー『ミュージックプレゼント』をのべ45年間担当。関東近郊の商店や銭湯、さらには中小企業などを訪れては、集まったお年寄りに「しけたジジイ」「きたねえババア」と罵り、また、妊婦が「生まれてくる子供のためにお腹をさすってほしい」と願い出れば、お腹に触れて安産祈願した後、どさくさまぎれに妊婦の胸にもタッチ。それでもみな拍手と歓声をあげて「マムちゃん」と呼びかける。
そんな、もはや迷惑防止条例もコンプライアンスも通用しない毒蝮のどこを有吉は尊敬しているというのか? 放送作家が語る。
「有吉がすごいと思っているのは、自分のことを棚に上げて、相手のことをあげつらうところらしいです。“くたばりぞこない”と言っている毒蝮さんも御年78才。年齢だけ考えれば、人のことは言えない。また毎回集まった一般人の顔のことをその場の思い付きで『わら人形みてえな顔しやがって』とか『伊良部みてえなババアだな』とか『応仁の乱みてえな顔しやがって』など、思いつきで言っていますが、じゃあ自分の顔はどうなんだ、と。そんな、棚に上げて相手を責める姿勢は、毒蝮さんにはかなわないと有吉はみているようです」
さらに有吉は、毒を吐くときのハウツーも参考にしているという。
「毒を吐いた後のフォローです。毒蝮さんは中継が終わったあとも必ず20~30分、時に1時間もその場に残り、お年寄りに対しては『我々ができるのは医療費を減らすこと。医師にかからない、元気なお年寄りになりましょう』とか、祝日の中継のときに来た小学生には『君たちが日本を支えるんだぞ』と、親戚のおじさんのように接する。集まった人の中に東日本大震災の被災者がいたら、必ず生きていることの幸せを謳う。毒のあとに愛があるのです。有吉も毒を吐いた後、必ず笑いますが、それらは毒蝮さんから自然と学んだポイントのようです」
何を言っても許される、愛される「悪口の人間国宝」、毒蝮三太夫。その系譜を受け継いでいる有吉は40年後、現在の毒蝮さんの年代に達したとき、どんな毒舌ぶりを発揮してくれるのだろうか。