死に近づいたとき、病気で亡くなった両親や親戚、戦死した友人など故人に会ったという人は多い。これは「臨死体験」とも言われるが、芸能リポーターの前田忠明氏(73才)がその不思議な臨死体験を語る。
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もう20年以上前のことです。1990年の冬、胸に激痛を感じて家からタクシーですぐの病院に駆け込みました。病院のベッドに横になったとたんに意識が薄れてきて、遠くにお医者さんの声がかすかに聞こえるだけになった。
頭が真っ白になってからどれくらいの時間が経ったのかはわかりません。体がフワ~っと宙に浮いているような痛みもなにもない快適な状態になりました。すると前の方に黒い大きな扉が見えた。それがいきなり開いたんです。ドアの向こうからは金色のようなオレンジ色のような美しい光がさしていました。するとぼくと同じ姿をしたもうひとりのぼくが現れて、「こっちへおいで」と手招きをするんです。
向こう側の世界は一面に薄いピンクの花が咲き誇る花畑がありました。今まで見たこともないようなきれいな花です。それが土のない地面にフワフワと咲いている。そして奥の方には薄い青色の水が流れる川のようなものが見えました。水の音は聞こえないけれども、水面が光を反射してキラキラ輝いていたんです。
ぼくは、自分を呼ぶもうひとりのぼくに「まだ行かないよ、まだ行きたくない」と言いました。するとさっきまで開いていたドアがバタンと閉まって、また真っ暗な状態に戻ってしまいました。
あとから聞いたところ、ぼくは緊急処置を受けながら23時間ほど意識がなくなっていて、その間に1分間くらい心臓が止まっていたようです。これはその1分の間に見た風景なんでしょうか。
今思い出しても不思議な体験ですね。
※女性セブン2014年8月21日・28日号