国際情報

中国人民日報特派員 チベット亡命政府ダラムラサで悪口三昧

「全体的な計画がなく、主要道路の両側には古くてぼろぼろの家並みが続き、最大の印象は汚くて、バラバラで、ひどいということだ」

 これは中国共産党機関紙「人民日報」のインド特派員の手になるダラムサラのルポの書き出しだ。ダラムラサは中国政府が「分裂主義者」などと最大限に非難するチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の居住地。チベット亡命政府の本拠地でもある中国政府にとっては“敵地”ともいえる。それだけに、人民日報の特派員がルポをするのは極めて異例だが、やはり悪口のオンパレードで、あからさまにダライ・ラマのイメージ悪化を狙ったものといえる。

 ルポは、はじめにダラムサラの位置関係を説明。「ニューデリーからバスで12時間かかり、着いただけで疲労困憊」としたうえで、ダラムサラには「下ダラムサラ」と「上ダラムサラ」があると述べる。

「下」の方はインド人居住区で、道も広く、瀟洒な建物が多数あるが、ダライ・ラマが住む「上」は道が狭く、ボロ屋が多く、牛や馬、犬が多数、放されており、人間と混在。牛や馬などのフンや人糞もいたるところに散乱していて、不潔きわまりないと酷評する。

 このような有様に、中国の四川省から亡命してきたチベット人青年は「なぜ、こんなにひどい状態なのだ。だれかが、お金を集めて、しっかりと管理すれば良いではないか。ダライ・ラマ集団は人に頼って生きており、町を建設しようとする気がまったくない。ダライ・ラマが住んでいた中国のラサは非常に整備されているのに、ダラムサラがこんなにひどいとは思ってもいなかった」と特派員氏に憤りをぶつけたという。

 小さいころ、ダラムサラに来て、現在はインドの大学に通っているという青年はダラムサラでは仕事がほとんどなく、あっても給料が安いため、生活ができないとこぼす。この理由について、「1956年にダライ・ラマが亡命した際、一緒に付いてきた第一世代は、うまく職にありついて高給を取っているが、第2世代は貧しいままだ」と指摘する。

 青年は「大学を卒業したら、友達を頼って北京に行き、中国で生活しようと思っている」と告白。

 このルポは「いつも、中国の故郷を思わないときはない」との他のチベット青年の望郷の言葉で締めくくっている。

 ダライ・ラマは国際情報誌・SAPIOの単独会見で、中国の習近平国家主席について「彼は実務的で、行動的、現実的な指導者である」と高く評価し、中国のチベット政策の変化に強い期待を示しているが、中国共産党の治安部門の責任者、孟建柱政法委員会書記が7月下旬、チベット自治区を視察した際、「分裂破壊活動やテロ活動などの重大犯罪をたたきのめす」よう求めており、習近平体制発足後もダライ・ラマは「分裂主義者」「独立派」と非難するスタンスは変わっていない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン