読売ジャイアンツは、順位こそセ・リーグ首位をキープしているが(8月12日現在)、貯金10のうち8つは交流戦での勝ち越し分。セ・リーグ内で見れば37勝36敗で勝率は5割ギリギリ。順位は4位に沈む。
打点、得点、チーム打率はいずれも最下位という惨状なのだ。チーム防御率こそリーグ2位だが、薄氷の首位である。この原因が、捕手・阿部慎之助にあるという声が、チーム内から上がっている。打線の援護を得られぬ中で奮闘している投手陣からは特に不満が漏れる。
最も露骨に「反・阿部」の姿勢を示しているのは、今季、広島からFA移籍した大竹寛だとされる。8月10日の中日戦に先発、6回3分の2を1失点に抑えて8勝目を挙げた大竹は、阿部に代わって女房役を務めたルーキーの小林誠司を手放しで褒めた。
「小林との意思疎通がうまくいったのが勝因です」
巨人番記者が語る。
「この日の試合、谷繁元信を迎えた打席で、小林から出た内角シュートのサインに大竹は首を振った上で、外角の直球で三振を奪ってピンチを切り抜けた。試合後に大竹は満足そうに、“阿部さんならこうはいかなかった”と漏らしていた。
大竹は投球の主導権を握りたいタイプだが、新加入の遠慮もあって阿部のサインに首を振れない不満を抱えていたらしく、コミュニケーションを取りやすい小林を歓迎しているのです」
今季の大竹は開幕からローテーションを守って18試合に登板。阿部と組んだ15試合で6勝2敗の成績は上々に見えるが、5月の阪神戦で5勝目を挙げて以降2か月近く勝ち星がつかない状態が続いた。防御率は小林とのコンビでは2.75だが、阿部では4.55だ。
他の投手はどうか。
「例えば杉内俊哉と阿部は移籍当初から合わないと指摘されています。それはリードのクセ。杉内は球威ではなく内外角の組み合わせで勝負するが、阿部は内角の直球でグイグイ押すリードを好む。巨人移籍以降、杉内の成績は毎年悪くなっている。あるOBは“気分を変える意味でも、小林や、實松一成を起用する柔軟性があってもいいのに”と漏らしていました」(前出の巨人番記者)
※週刊ポスト2014年8月29日号