欧米ではこうしたサービスのおかげで、銀行借り入れでリゾート地に立派な別荘を建てても、元本の返済ができる。老後はそこに移り住む、別荘地が賑わう、という好循環を生んでいる。
さらに、年々深刻さを増している空き家問題(空き家率が全国平均で13.5%に達している)も、空き家を宿泊施設として有効活用することが一つの解決策となり、それによって大きな経済効果も生まれる。子供が巣立って自宅の部屋が余っている高齢者は、それを貸し出せば年金の補填ができる。
日本政府は訪日外国人客数を、東京五輪が開催される2020年に現在の2倍の年間2000万人、2030年に同3000万人超に増やすという目標を掲げているが、日本の宿泊費は相対的に高いし、1泊2食付きの旅館は外食や自炊を好む長期滞在者のニーズに合わない。
エアービーアンドビーで安く素泊まりし、食事は世界一多彩でレベルも高い日本の飲食店とコンビニやファストフードなどを利用するというスタイルのほうが好まれるのは間違いない。というか、訪日外国人が年間3000万人になったら、エアービーアンドビーのようなサービスがないと宿泊施設が足りなくなるだろう。
要するに、日本は中央官庁による規制がなくなりさえすれば、インターネットと組み合わせることにより、アイデア一つで様々な新しいビジネスを生み出すことができるのだ。
※週刊ポスト2014年8月29日号