「前監督のやり方を話して誤解されたくない」としながらも、来日会見では「ザックカラーの一掃」をはっきりと打ち出した。
サッカー日本代表のアギーレ新監督(55)は、会見冒頭から「選んだ選手が永遠に代表であるとは限らない」「将来性のある選手を選びたい」と明言した。
「本田圭佑、香川真司を固定した前体制を否定したと受け止められています。『求めるのは走れる選手、守備をする選手』とも語っており、本田や香川を呼ばない可能性も出てきた」(サッカー協会関係者)
メキシコ代表を率いた2010年南アW杯では、戦術に合わないからと欧州のトップクラブに所属するスター選手の招集を見送り、メディアから猛批判を浴びた。が、結果的に決勝トーナメントに導いて雑音を封じた。そんな実績があるだけに、代表メンバーは大きく変わると見られている。
では、誰に白羽の矢を立てるのか。ロンドン五輪代表世代(20代前半)の招集が有力視される中、興味深い候補がいるという。
「原口元気(23、独ヘルタ・ベルリン)、柴崎岳(22、鹿島)、金崎夢生(25、ポルトガル・ポルティモネンセ)です。いずれもザッケローニ時代に代表に招集されながらも定着しなかった選手です」(サッカー専門誌記者)
3選手には共通したネガティブな評価がある。要は「問題児」なのだ。柴崎と金崎はロンドン五輪代表候補の練習中に掴み合いの喧嘩を起こし、その後は2人とも招集を見送られた。
さらに上を行くのが原口で、浦和時代の2011年、チームメートと喧嘩の末に肩を蹴って全治3週間の怪我を負わせ、謹慎処分を受けた“前科”を持つ。
「前代表ではそうした素行が招集されない理由の一つになったといわれている。だが、運動量豊富な3人は、アギーレが求める選手であることは間違いない」(同前)
在欧州サッカーライターによれば、「自己主張の強い選手が揃うスペインリーグで長く監督を務めたアギーレにしてみれば、その程度の“悪童”の扱いは慣れたもの」という。
相手チームの選手を蹴り上げ、審判に暴言を吐きまくることから「狂犬」と呼ばれるアギーレなら、チーム内で喧嘩する程度の若手は一喝すればおとなしくなる“子犬”のようなものか。
ブラジルW杯では覇気のない試合運びで惨敗した日本代表。狂犬に率いられた新体制下では“噛みつき力”のある戦いを期待したい。
※週刊ポスト2014年8月29日号