近年、ジュニアゴルフの人気は高い。背景にあるのは、男子では松山英樹や石川遼、女子では森田理香子に代表されるような若いプロゴルファーの活躍だ。松山や石川も幼少時代から親がつきっきりで指導したことはスポーツ番組などで広く紹介された。
彼らを見て子供もゴルフに興味を持ち、さらに親も「もしや我が子が第2の松山、森田になるかも」と、幼い頃からゴルフクラブを握らせる。だが、我が子のゴルフ上達に熱を上げすぎるあまり、ついつい子供に暴言を吐いたり、手を上げてしまうなど、父や母の「行き過ぎた指導」が問題になっている。
親たちは、「それだけカネをかけているから」と言い訳する。『ブリヂストンゴルフアカデミー』によると、小学1年でゴルフを始め、大学卒業時にプロテストに合格すると仮定した場合の17年間では、必要費用は総額1400万円に上るという。
「特にお金がかかるのは遠征費や日々の練習費用です。一般ゴルファーで盛況な大都市近郊のゴルフ場はジュニアゴルファーへの優遇がないので、安くプレーするために遠方のゴルフ場を探す。高速道路で片道2時間くらいは当たり前です。
遠方のゴルフ場に行けば、大人は1ラウンドあたり1万5000円くらいするところでも、ジュニアは3000円くらいで回らせてくれる。高速代はバカにならないが、合計額トータルでは安く上がる。休みは潰れてしまうけれど、子供のためなら仕方ありません」(40代父親)
この父親はサラリーマンで、月8万円の出費をカバーするために「小遣いは月に1万円で我慢している」という。
「打ちっ放しの練習場も、ジュニア割引がある場所を選んでいる。1球5円。学期中は放課後の2時間しか練習時間がないが、夏休みには1日6時間、500球は打たせています」(同前)
50代の母親は、「何より費用がかさむのはウェアだ」と明かす。
「子供用のゴルフウェアって、種類も少ないうえに高いんです。練習ラウンドはファストファッションでOKですが、人の目に触れる試合ではゴルフ専門ブランドを着させてやりたいので奮発します。
でも、成長期だからすぐに体が大きくなって着られなくなってしまう。シューズだって、雨用も含めて最低でも3足は必要ですが、これも3か月もすると鋲はすり減るし、何より足が大きくなって履けなくなる」
保護者の多くは爪に火をともすような生活をしているという。
「練習ラウンドはジュニア用のランチ付きプランで予約する。子供がレストランで食べている時に、私は車の中でコンビニ弁当を食べています。大会となれば、遠征先の格安ビジネスホテルをネットで探し、夜はスーパーの3割引き弁当。みじめですが、すべては子供のためです」(前出の父親)
支える親も一苦労のようだが、だからといって結果が出ないイライラを我が子にぶつけていいわけではないだろう。
※週刊ポスト2014年8月29日号