近年、小学生ゴルファーのレベルは年々上がっている。このたび取材をした関西の大会の男子の優勝スコアは73の1オーバー、女子は71の1アンダーによるプレーオフとなっていた。
勝ち上がるのは非常に困難だが、どの親もジュニアゴルフを諦めさせようとはしない。そうした中で、我が子のゴルフ上達に熱を上げすぎるあまり、ついつい子供に暴言を吐いたり、手を上げてしまうなど、父や母の「行き過ぎた指導」が問題になっている。自身もついつい、娘を怒鳴り散らしてしまうという50代の男性は語る。
「子供を叱ってしまうし、費用もきつい。ゴルフをやらない友人からは、“そんなに辛いならやめればいいのに”といわれます。でも始めてしまったら後戻りできないのがジュニアゴルフなんです。ここまでかけてきたお金も無駄になってしまうし、もはや引っ込みがつかなくなったというのが本音ですね」
だが、一方的な「愛のムチ」は「親子の問題」と片付けられない悪弊を生んでいる。日本ゴルフ協会(JGA)の競技委員の1人はこう明かす。
「看過できないのは、親に叱られたくない一心でスコアを改ざんしてしまう子供たちが増えていることです。同伴競技者と結託してダブルボギーをボギーと書いたりして、過少申告する。さすがに大会の優勝に絡むような改ざんまではやらないが、下位に沈んで特に影響がない場合には、親に叱られるようなスコアだけは避けようと、平気で書き換えてしまうのです。
ホールアウトした子供に対し、米国の親はまず“エンジョイしたか?”と聞くといわれていますが、日本では“スコアはいくつだ?”が第一声ですからね」
ゴルフは「紳士のスポーツ」であり、虚偽申告は最大のマナー違反だ。ゴルフを通じて人間形成されるはずが、行き過ぎた親の言動によって真逆の結果を招いているのである。そもそも子は親を映す鏡である。子供の失敗や不行状を責める前に自ら反省すべきこともあるはずだ。
「ある試合で、子供が林の中から自分のボールを拾い上げて、打てるところまで手で持ってきた。ボールを触るのはルール違反だと伝えると“いつもお父さんがやっている”と答えたんです。子供は常に親の姿を見ていることを忘れないでほしい」(同前)
※週刊ポスト2014年8月29日号