初代タイガーマスクこと佐山サトルが代表を務めるプロレス団体『リアルジャパン』。4月には、元関脇・貴闘力が邪道・大仁田厚と伝説的一戦を交えるなど、話題に事欠かない団体として、コアなプロレスファンからは絶大な支持を集めている。また、長州力、藤波辰爾といったビッグネームも定期参戦するため、その人気ぶりはメジャー団体にも引けを取らない。
そんな『リアルジャパン』で、今、長州、藤波、大仁田以上に、観客を熱狂させるレスラーがいる。彼の名は力(ちから)。
何を隠そうあの力道山の孫(プロレスラー・百田光雄の息子)であり、このご時勢に祖父譲りの“空手チョップ”だけで相手レスラーと対峙するというプロレス界最後のリーサルウェポンである。長年、リアルジャパンを見てきたというプロレスファン男性のAさんは興奮気味に話す。
「はじめて見たときは衝撃としか言いようがなかったです。どんな実力の持ち主かと思ったら…その、なんていうか、偉大なる素人というか…とにかく形容する言葉が見つからない…です」
力は、以前、百田力として『プロレスリングノア』に練習生として入門するも、プロテスト不合格となった過去がある。その後、トレーニングを積んで満を持してプロレスデビューしたのだが――。
「何をどう練習したらああなるんだろうって。基本攻撃は、空手チョップとボディスラムです。昔、『スーパーファイヤープロレスリング』というスーパーファミコンのソフトがあったのですが、それのYボタンで簡単に出せる技のみでしか戦わない。動きも独特だし、間の取り方もヘンなんです。
例えば、試合時間が15分経過しているのに、平気でストンピング3連発から、相手をフォールしにいったりする。タッグマッチでも、カットのタイミングに迷うなど、ありえない行動の連続なんです。あんなレスリングスタイル見たことありません。
ナチュラルボーンですよ。ですから、いつしか観客も力の虜になって、夢中で応援している。今や、初代タイガーの“猛虎原爆固め”、長州さんの“リキラリアット”、そして、力(ちから)の“不思議ムーブ”かってくらい会場が盛り上がる」(Aさん)
ちなみに、彼の必殺技はトップロープから、ダイビング袈裟蹴りチョップをお見舞いする“セーバーチョップ”だという。