子供たちが母親の胎内での記憶を語る『胎内記憶』が最近話題となっている。だが、『胎内記憶』という言葉を初めて耳にする人も多いだろう。世界における胎内記憶研究の第一人者で、産婦人科医の池川明さんによると、胎内記憶とは、母親の胎内にいた時や出産時の記憶だという。
胎児の記憶の有無について、科学的な意見はどうか。著作に『記憶力の正体』(ちくま新書)を持つ聖心女子大学教授の高橋雅延さんはこう語る。
「記憶とは一般的に“言語記憶”を指し、イメージを“いつ、どこで、誰が、何を、どうした”などの物語にあてはめ、言葉に直して覚えておくものを言います。
胎児は言葉を使えないので、記憶があるはずがありません。ただし、人間には“身体記憶”というものもあります。これは健忘症の患者によくみられ、イメージを失った場所に連れて行くと、体に染みついた記憶によって、なぜか道がわかるというもの。
胎児にも、体に染みついた印象や感覚が残っている可能性はあります。記憶は、ある種、いい加減なもの。人の話や本の情報を自分の体験にすり替えることもよくありますから、どこかで耳にした情報を自分の記憶と勘違いする場合も。
ただ、こういう話をする子供は想像力が豊かなのは確か。否定する必要はないのではないでしょうか」
※女性セブン2014年9月4日号