わずか3時間で平年の8月1か月分を上回る圧倒的な雨量──8月20日未明、広島市北部を襲った記録的な大豪雨は、山を削り取り土砂の激流となって町を呑み込んだ。一夜明けての死者・行方不明は40人超。だが、被災者の数は時間を追うごとに増え、正確な被害状況を掴むことにも時間を要した。
現地の惨状は東日本大震災発生直後と重なる。土砂は多くの水を含み、太腿まで沈む瓦礫だらけの災害現場は危険と隣り合わせだ。消防士や警察官、自衛隊員らの救助活動は困難を極めた。消防士の政岡則義さんは、助けようとしていた幼児を抱えたまま土砂に巻き込まれて命を落とした。
写真は、現地に続々到着した自衛隊員の救助隊。ぬかるんだ土砂に足をとられながらも捜索は夜通し続いた。命懸けの救助活動を支えるため、二次災害を未然に防ぐ対策も急務であろう。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2014年9月5日号