放送終了まで1か月を切った連続テレビ小説『花子とアン』。8月26日には緑山スタジオでクランクアップを迎えた。ヒロイン・村岡花子を演じた吉高由里子は晴れやかな笑顔で登場し、「(この作品は)私の宝物になりました」と、感激の涙をこぼした。
前々作『あまちゃん』、前作『ごちそうさん』とヒットが続くプレッシャーの中、それらを大幅に上回る視聴率を記録。現在まで放送開始から21週連続で視聴率21%超えの快挙を成し遂げたのだから、吉高にとって偽らざる本音だろう。
出演者たちの仕事は終わったが、視聴者にとって『花子とアン』のクライマックスはいよいよこれからだ。特に今後は激動の戦乱期に突入し、ドラマも大きく揺れ動くことになる。毎朝チェックを欠かさない上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏がいう。
「花子が『赤毛のアン』を翻訳するという最終到達点があらかじめわかっているドラマですが、それでも目が離せないのは、花子の脇を固めるキャラクターが非常に魅力的に描かれているから。特に今後は、憲兵として戦争に深く関わっていく花子の兄・吉太郎(賀来賢人)の動きが大きなカギになっていくはずです」
ヒロイン・花子が手に入れた穏やかな幸せはどうなるのか。先週放送分で最も大きな出来事は、花子と夫・英治が「新しい家族」を迎えたことだった。
長男・歩(横山歩)を疫痢で亡くし失意の底にあった花子だが、妹・もも(土屋太鳳)の長女・美里(三木理紗子)を養女として迎え入れた。ももは夫の結核の治療のため、生後間もない美里を花子に預けていた。そのため美里は最初から花子を「実の母」と信じ込み育っていく。
仕事でも、花子が朗読を担当するラジオ番組「こどもの時間」が好評。子供たちの間で絶大な人気を誇っていた。
しかし時は1938年。忍び寄る戦争の足音は、花子の日常にも影を落とす。花子のラジオ番組では軍事ニュースが多くを占めるようになり、美里の愛犬・テルも軍用犬として戦地に駆り出される。
これからドラマはどうなっていくのか。
※週刊ポスト2014年9月12日号