連日、視聴率は25%を超え、社会現象ともなっている『花子とアン』。「ここまで多くのかたに見てもらえるとは予期してなかったので、素直に嬉しい」と笑うチーフプロデューサーの加賀田透さん。『花子とアン』を欠かさず見ている記者が加賀田さんにまず聞きたかったのは、展開の速さだ。
花子が山梨から東京・修和女学校に行き、編集者を経て結婚。白蓮事件や関東大震災が起き、そして花子の息子・歩が亡くなって…と、物語は息つく暇もないほどテンポよく進んでいく。15分の中に、これだけドラマが詰め込まれている朝ドラも珍しい。
「そこは脚本家の中園ミホさんとぼくらのサービス精神の表れですね。15分の中に、1うねり、2うねり、2うねり半ぐらいはドラマを詰め込んでいます。ちょっと今回は要素が多いので次回に回そうというよりは、1回に入れ込んでしまう。最初からそれが正解だと思ったわけではなく、そうした方が視聴者に喜んでいただけるのかな、と感覚をつかんできたという感じですね」
中園さんといえば『anego』や『ハケンの品格』など、数々のヒット作を生み出し、ラブストーリーの名手と称される脚本家。現代劇のイメージの強い中園さんがなぜ今回、『花子とアン』を書くことに?
「中園さんから、女性が自分らしく生きるということに制約のあった近過去の時代の物語を書いてみたいという話がありました。そのなかで、『アンのゆりかご』という作品に出合ったんです」
貧しさの中から立ち上がり、『赤毛のアン』を日本に紹介した翻訳家・村岡花子という女性の一代記…と書けば朝ドラの王道のようだが、そこは中園さん。視聴者の予想を、いい意味で裏切った。
「まぁ、中園さんが脚本を書くわけですから、王道だけで済むはずがない(笑い)。仕事と恋愛が絡み合う物語は、中園さんならではの踏み込み方ですし、中園さんは『当て書き』といって、俳優のかたのイメージを思い浮かべながら脚本を書く。だから、花子や蓮子はもちろん、宇田川先生や醍醐さんなど、出てくるキャラクターが濃厚なんです」
※女性セブン2014年9月11日号