「日々是決戦」をキャッチフレーズに、かつては武道館に約2万人を集めて“入学式”を行なって耳目を集めた予備校大手の代々木ゼミナール(代ゼミ)が校舎の7割を閉鎖すると発表した。大胆な経営判断の背景には、この20年間の「大学受験」の激変がある。教育事業のコンサルティングを行なう高等教育総合研究所代表の亀井信明氏は、過去に成功した予備校ビジネスモデルをこう説明する。
「人気の講師を使ってとにかく大きな教室いっぱいに、できるだけ受験生を集める。それを突き詰めたのが代ゼミでした。700人くらい入る教室がありましたし、河合塾の大教室も400人は収容できました」
だが、18歳人口は1992年度の204万人を境に減少に転じ、今年度は118万人。浪人生(過年度卒業者の入学志願者数)は同じ期間に29万人から8万人まで激減した。
「代ゼミでは1990年代の資料を見ると全国総合模試の受験者は50万人を超えていたが、近年は10万人を大きく割り込む状況だった」(代ゼミ関係者)という。
森上教育研究所大学情報研究会の後藤健夫氏は、特に代ゼミへの逆風が強かったと指摘する。
「駿台は理系に強く、河合塾は国公立大に強くて、代ゼミは私大文系に強いという棲み分けでした。しかし、大学の定員数は増え続け、事実上の『全入時代』が訪れています。
志望校にこだわらなければ成績の中下位層は勉強しなくても大学に入れるし、特に私大文系志望の層は浪人する必要がなくなっている。また不況の影響で就職が有利とされる理工系、授業料の安い国公立大に人気が偏っている」
※週刊ポスト2014年9月12日号