朝日新聞が「慰安婦を強制連行した」との虚報を認めたという事実を、韓国メディアはどうしても受け入れられないようだ。以下は8月5日、朝日が過去の慰安婦記事の虚報を認めたことを受けての韓国紙の記事である。
〈「慰安婦ふり返ってこそ未来に進む」朝日新聞、右翼に反撃〉(中央日報6日付)
〈朝日新聞が安倍首相に反撃「慰安婦問題、直視を」〉(朝鮮日報6日付)
〈“朝日叩き”で揺らすことができない真実〉(東亜日報8日付)
韓国3大紙の見出しを並べると、朝日が慰安婦問題について何か決定的な新証拠を報道したかのように思えてしまう。
朝日が「旧日本軍による慰安婦の強制連行」という吉田清治氏(故人)の証言を虚偽として取り消したあと、韓国では逆に慰安婦報道が過熱している。各紙の報道を続ける。
〈済州島での強制動員を主張したある日本人(吉田氏)の証言のミスを認めただけなのに、右翼はこれを口実に強制性自体が虚構だったかのように波状攻勢を展開している〉(東亜日報8日付)
〈一部の政治家と極右勢力はこれを口実に、慰安婦自体を否定する捏造説まで主張し始めた〉(朝鮮日報23日付)
1991年、朝日紙上で紹介された吉田証言は同紙の慰安婦報道の出発点になっただけではなく、世界中に誤った認識をバラ撒くきっかけになった。過去、朝日の報道を利用する形で韓国メディアは“問題”を拡散し続けてきたのだから、その前提が崩れた以上、彼らにとっても改めて検証すべき機会が訪れているはずである。しかし、韓国メディアにかかればすべて「日本極右の策謀」となる。
〈(朝日記事は)「慰安婦の強制動員はなかった」という考えを持つ安倍首相への直撃弾でもある〉(朝鮮日報6日付)
〈朝日は、極右が否定している強制連行について「本人の意に反して慰安婦にされる強制性があった」と指摘した〉(東亜日報6日付)
〈(朝日は)慰安婦の強制連行を示す資料はフィリピン、インドネシアでも発見されたという点を明確にしている〉(週刊朝鮮8月18日号)
虚報を認めた記事によって、逆に“強制性が証明された”というのだから韓流ジャーナリズムは理解しがたい。極めつきは、苦境に立たされた“大好きな朝日”を助けようという呼びかけだ。
〈旧日本軍慰安婦をめぐる朝日新聞の闘いは20年以上になる。加害者の国の新聞が常に被害者側で闘ってきたのだから、孤立し疲れが見えてきた。知恵を絞って助ける方法が韓国政府にはあるはずだ〉(朝鮮日報9日付)
韓国政府は早速、国を挙げて朝日応援に乗り出した。
※週刊ポスト2014年9月12日号