バンドを作り、エレキギターを華麗に弾きこなすのがモテる男の条件だった1970~1980年代。その頂点に君臨していたのが、カリスマギタリスト、世界のTAKANAKAだ。1971年、つのだ☆ひろに誘われ、ベーシストとしてプロデビュー。その後、加藤和彦が結成したサディスティック・ミカ・バンドにギタリストとして参加。解散後はソロアーティストとしてサンタナとのジョイントライブを行なうなど、高中正義のプレイは世界の注目を集めた。
「いい時代だったよね。毎日、赤坂とか六本木で朝まで飲んだくれて。それでもギターを弾いていれば、お金も稼げたし、レコードも売れたからね。懐かしいというか、もう一度、あんな時代が来ないかなってマジで思ってる(笑い)」
黒のサングラスに、ギター少年憧れのラグーンブルーのヤマハSG。14年前に引っ越してきたという軽井沢の自宅で、あの頃と少しも変わらず音と真正面から向き合っている高中も、昨年還暦を迎えた。
「朝は6時半に起きて、自転車に乗ったり散歩したり。毎日、時間を決めて腹筋や筋トレもやってます。で、寝るのは0時半。相変わらず記憶がなくなるほどお酒は飲んでいますが、健康的な生活ですね(笑い)」
どこが!? と思わずツッコミを入れたくなるが、確かに15年前よりも若く見えるのだから不思議だ。
9月3日にアルバム『SUPER STUDIO LIVE!』をリリース、ツアーも行なう高中。このアルバムは、名盤中の名盤と呼ばれる『JOLLY JIVE』(1979年12月)のリリース後に日本武道館で行なわれたライブを、同じ曲順、同じアレンジでスタジオ再現したもの。「フュージョン」というジャンルを世に知らしめたことで〝伝説〟と呼ばれたライブが、35年の時を経て現代に蘇る。
「40、50はまだ小僧。人生は60から。当時、ギターを弾いていたという人も、あの頃はできなかったという人も、オヤジバンドでも結成して、思いっきりギターを弾いてほしい! いろんなことを経験した分、いい音が出せるはずだから」
身体のアチコチに付着した錆が、音に深みと厚みを加える。高中の“今”を聴けば、それが実感できる。この秋にはライブも予定されている(10月11日 愛知・Zepp NAGOYA、10月18日 大阪・森ノ宮ピロティホール、10月31日 東京・渋谷公会堂、12月4日追加公演 東京・渋谷公会堂)。
撮影■二石友希
※週刊ポスト2014年9月12日号