大きな声で叫び続ければ嘘が真実になる。韓国メディアはこの戦略を慰安婦だけでなく竹島問題でも踏襲している。聯合ニュースが8月24日、こんな大見出しで一報を打った。
〈独島(日本名・竹島)を韓国領土と認めた日本地図公開〉
記事で紹介された地図は1951年に海上保安庁が作成した「日本領域参考図」と呼ばれるものだ。「漁船操業許可区域」と線で囲まれた区域を見ると、たしかに竹島は日本側に含まれていない。
記事はこの地図を根拠として〈独島は日本領土から除外され〉、〈当時日本と連合国いずれも独島を韓国領土と認めていた〉と結論づけている。拓殖大学国際学部教授で、島根県「竹島問題研究会」座長を務める下條正男氏が解説する。
「件の地図は領土の境界線を表わしたものではなく、単に当時の日本の漁業区域を示したものに過ぎません。地図が作成された1951年は、敗戦を経て日本が連合国軍の統治下にあった時です。日本は捕鯨などの自由な出漁を認められておらず、連合国により一時的に漁船の操業区域を含む施政権の及ぶ範囲を定められました。それが地図上にあるラインです。
竹島周辺に引かれた線はいわゆる『マッカーサーライン』と呼ばれるものですが、これも日韓の暫定的な漁業境界線を示したものでしかありません。この境界線はサンフランシスコ講和条約発効(1952年)直前に廃止されています」
そもそも地図にははっきりと「漁船操業許可区域」と表示されている。これをなぜ国境線と解釈するのか理解に苦しむ。アメリカが同ラインを領土の境界線と認識していなかったことも明白だ。
地図が作成されたのと同じ1951年8月、当時のアメリカ国務次官補ディーン・ラスクが韓国政府に対して通達した「ラスク書簡」(※注)には「竹島は韓国の地域として扱われたことはなく、1905年頃から日本の島根県隠岐島支所の管轄であった」と記され、竹島は日本領であるとの認識をはっきり示している。これが当時も現在もアメリカ政府の公式見解であり、これ以外の見解が示されたことは一度もない。
不都合な真実には目をつぶり、信じたいものだけを見続けて、国民に発信する。朝日と韓国メディアのおぞましさと不誠実はよく似ている。
【※注】1951年、サンフランシスコ講和条約を起草中だったアメリカ政府に対して、韓国政府が「竹島を日本の放棄領土に加える」ことや「マッカーサーラインの継続」などを求めたことに対する、アメリカ政府の最終決定通達書のこと。
※週刊ポスト2014年9月12日号