かつてセクハラといえば男性上司から女性部下へという構図が大勢だったが、世間を揺るがした橋本聖子参議院議員のソチ五輪代表・高橋大輔(28)へのキス強要事件のように、昨今は女性上司による男性への「逆セクハラ」が増加中だ。
労働問題に詳しい戸塚美砂弁護士による22~39歳男性2500人調査によると25.5%が経験したという。権力を押し出す高圧的な女上司もつらいが、親密な関係を作って甘えてくるタイプも厄介だという。
生命保険会社に勤める33歳のAさんは声を落とす。
「女上司は50歳で既婚です。若い頃から上にかわいがられていたタイプでいまも役員のおぼえめでたい。職場を一歩出ると部下を下の名前で○○クンと呼ぶなど、仲がいい雰囲気を自然に作り出す人です。
仕事の打ち上げで行ったカラオケの席で、私の膝の上に座ってこう言うんです。
『私ね、Aクン好きだもーん』とおよそ50歳とは思えない口調で腕を絡ませてくる。まァ、その時はそれほど悪い気はしなかったんですが……」
事件はその後に起きた。
「後日、私に絡んでいたことを誰かに指摘された時、その女上司は『だってAクンと私、デキてるから(笑い)』と冗談まじりに話したんです。それを聞いた役員が『既婚の女上司を誘うなんてとんでもない奴だ』と怒ったそうです。完全な嫉妬だと思います。2か月後にあった人事でその女上司と離れた部署に異動になりました。彼女は自由奔放に振る舞っただけかもしれませんが、結局私だけが犠牲になった」
※週刊ポスト2014年9月12日号