全壊した家屋、泥まみれになった自家用車──死者72人を出した広島の土砂災害だけでなく、最近は竜巻や台風による自然災害が後を絶たない。そうした災害で、命の次に大事なのは「その後の生活」であり、その際に欠かせないのが災害保険だ。
大雨による土砂災害は「水災」のカテゴリーに属し、火災保険での補償になる。ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さんはこう説明する。
「火災保険というと、火災に対する補償だけと思われがちですが、家に対するほぼすべての災害による被害を補償する保険になっています」
竜巻は「風災」、台風やゲリラ豪雨は「水災」、落雷は「雷災」と呼ぶ。地震以外の自宅の災害被害は、すべて火災保険での補償となる。火災保険にはさまざまな種類がある。
しかし、水災は保険料が安いプランには含まれないことがある。つまり、もし水災補償をつけなかった場合、今回のような土砂災害被害にあっても1円も出ないのだ。現在加入している火災保険に水災補償がついておらず、プラスしたい場合は保険会社に問い合わせよう。ちなみに、地震による土砂災害の場合は火災保険で補償されないので注意が必要だ。
また、台風による豪雨やゲリラ豪雨による家屋の浸水被害をニュースでよく見かけるが、これは「水災」のため、火災保険の適用範囲内だが、床上浸水のみ補償される。
「文字通り、床より上に浸水することを床上浸水といいます。被害面積にかかわらず修繕費用と同額が支払われるタイプが現在の主流です。ただし、火災保険の中には、『延べ床面積の15%が浸水した場合で修繕費の5%を補償』など、全額補償されない保険もあるので、注意しましょう」(前出・八ツ井さん)
火災保険の補償内容は、「建物」と「家財」に分かれており、家財の保険は補償額によって保険料が変わる。家財の補償額をどの程度見積もればいいかは、保険会社のホームページで調べられる。たとえば、損保ジャパンでは、45才前後で夫婦と子供2人の場合、家財がすべて使えなくなって買い替えるときの費用目安は1480万円と算出している。貴金属の補償は1つにつき30万円までとする保険が多く、それ以上の金額のものについては申告して追加料金を払う必要がある。
※女性セブン2014年9月18日号