みんな大好きな餃子だが、その多くが三日月型なのはなぜか。餃子発祥の地・中国で「財に恵まれるように」と馬蹄型銀貨を模して作られたのが始まりという説が有力だ。そのため現在でも中国では餃子は祝いの席に欠かせない料理で、旧正月には山のように食べられる。
日本で初めて餃子を食べたのは水戸藩主・徳川光圀とされるが、庶民に広まったのは第二次世界大戦後。中国では主食の水餃子が主流だったが、日本では米飯のおかずに、薄皮の焼き餃子が人気となった。
専門店も増えるなど、現在では日本は餃子大国になったが、店主が一番旨いと思う形や流儀も店の数だけある。近年、焼き餃子には常識破りの厚皮が登場し、モチモチもあればフワフワもあり。羽根付きならば、ジューシーな餃子とパリッとした羽根で2倍の楽しみがある。
水餃子では香辛料をきかせた甘辛ダレを絡める四川餃子が目下のトレンド。あっさりとした蒸し餃子はセロリやトマトなどの野菜や、魚介を使用した多味多彩な餡の食べ比べを楽しめる。進化を続けるこだわりの逸品を冷たいビールとともに堪能する幸福は何物にも代え難い。
写真で紹介するのは、東京餃子楼三軒茶屋本店の「焼き餃子」。定番の薄皮焼きで「飾らない旨さ」が人気。
撮影■河野公俊
※週刊ポスト2014年9月12日号