夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は寄せられたのは、ご主人(40歳)が高校教師の奥様(33歳)。奥様は教え子でした。
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夫は国語の先生をしていて、凄く真面目なんです。生徒に対しての呼び方も、男子にはフルネームの「くん」付けで、女子には、私だと「K本A香さん」と「さん」付けでした。
私が短大を出てから再会し、付き合い始めたんですが、デートしても手も握らず、「そうですね、K本A香さん」。言葉も丁寧で呼び方もフルネーム。私が彼の部屋で「今夜は泊まって行くね」。上着を脱ぎ出すと「な、何をするんですか! K本A香さん」と後ずさりするような人なんです。
結婚してからも、私は7歳年上の彼を「E司」と呼び捨てなのに、夫は「K本A香さん」です。「結婚して苗字も変わったのに、『K本A香さん』はおかしいでしょ!」「呼び慣れた名前でないと落ち着かないんですよ」。妥協して「A香さん」になりましたが、「E司」「A香さん」だと、聞いた人に「カカア天下」という印象を与えてしまいます。
夫の母親からも「ねぇ、せめて人前では夫を敬う姿勢でいて欲しいの。世間体を考えてね」。夫に「私は『E司さん』って呼ぶから、アナタは『A香』って呼び捨てにして」というと、「わかりましたよ、A香さん!」。ダメだ、こりゃ!
※週刊ポスト2014年9月12日号