韓国社会で最大のタブーは「親日」だ。親日派のレッテルを貼られた者は民族の裏切り者としてあらゆる手段で社会的な制裁が加えられる。
昨年8月に出版された研究書『帝国の慰安婦』の中で強制連行説に異議を唱えた世宗大学の朴裕河教授も、その記述が名誉毀損にあたるとして元慰安婦9名から今年6月に集団提訴を受けた。具体的には、同書の出版差し止め要求と、1人当たり3000万ウォン(約300万円)、合計2億7000万ウォン(約2700万円)の損害賠償請求である。
このように、史実を客観的に研究、考察する学者や知識人が自らの主張を語りだせば、たちまち「反日売国奴」のレッテルを貼られ魔女狩りさながらの攻撃を受ける。それは、反証しようという姿を垣間見ることすらできない言論弾圧だ。これでは史実を探り出すことなどできるわけがない。
学術研究に反論があるのなら、客観的かつ冷静に議論すべきだ。しかし、そうした発言をすれば、暴力の制裁にみまわれる。このような社会で作られる歴史教科書に、事実と真実がどこまで記述されているのか疑問である。
先月、野党議員が日本統治時代を称賛した者を処罰する法案を提出したことも、韓国の異常性を物語っている。
※SAPIO2014年10月号