プロ野球はシーズン終盤を迎え、「天王山」といえる勝負が控えている。それぞれのファンは大きな期待を抱きつつも、不安やフラストレーションを溜め込んで声援を送っているが、各球団の重鎮OBたちも古巣に厳しい目を向けていた。広島カープOBの北別府学氏は、こう述べている。
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広島は昨年、初出場のCSで阪神に勝ったとはいえ、優勝経験者はゼロ。若い選手が多いため、勢いはあるが経験がない。そのためいざマジックが出ると、どうしても焦ってしまう可能性が高い。そこが最大の不安材料でしょう。野村監督はこの時期だけは選手を信じてサインを出し、なかなかうまくできなくても温かく見守って、おだてて上手に使うべきではないでしょうか。
これまで野村監督は厳しい指導でチームを奮い立たせてきた。選手を容赦なく二軍に落として、選手自身の奮起を促すところがあった。しかし闇雲に厳しさを求めることは、若くて経験不足のチームが終盤に向かうにあたっては、選手の萎縮に繋がり、浮足立ってしまって逆効果になりかねません。
そういう意味で、これまでチームを引っ張ってきたエルドレッドを二軍に落としたのは、今後の大きな不安要因です。代わりに丸やロサリオが4番を任されています。エルドレッドのいない現段階では頷ける布陣でしょう。しかしあくまで彼らは4番打者ではなく、「4番目の打者」にすぎません。
昨年CSに出場できたのは、6月に来日したキラが7、8月に打ちまくってチームを引っ張り、彼が4番に座ることで前後が固定されたからです。それ以前は日替わりメニューで、選手は戸惑い、相手ピッチャーは広島打線に怖さを感じていなかった。クリーンアップを固めれば、チームの結束力は違ってきます。やはり野村監督には選手たちが伸び伸びと野球をできるような采配を期待したいですね。
※週刊ポスト2014年9月19・26日号