親がなくなり、墓の名義を引き継ぐ際に必要になるのが「名義変更手数料」だ。名義変更に関する費用は高くても1万~2万円。公営墓地などでは数百円で済んでしまう。
そして、毎年かかってくるのが「管理費」だ。葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏がいう。
「地域差がありますが、管理費は公営墓地なら年間4000~5000円程度。寺の墓地や民間霊園では数千円~3万円ほどが相場です。これはマンションなどの管理費と同様、墓地の共有部分の管理を行なうための費用で、各々の墓地の清掃などを行なってくれるわけではありませんので、注意が必要です」
固定経費だけなら大したことはなさそうだが、「墓参り」の負担が重くのしかかる。
都内に住む青森県出身の66歳・A氏は5年前にひとり暮らしの母が亡くなってからというもの、墓参りのためだけに春・秋の彼岸に故郷を訪れている。
「母が他界してから、大変なのが墓参りのための交通費。1回あたり往復4万円ほどかかる。さすがに日帰りというわけにもいかず5000円のビジネスホテル代も発生するので年間10万円ほどかかってしまう。だけど、それでも行くたびに雑草は生えるわ、墓石がカラスの糞だらけだわで……。
本当はもっと通ってあげたいが、今の年金暮らしでは経済的に無理ですね。妻からは“東京に新しくお墓を建てたら”と薦められるが、田舎で一生暮らした母の顔を思い浮かべると決心がつきません」(A氏)
仏事関連メモリアルサービスの「メモリアルアートの大野屋」の調査によれば、墓参りの平均回数は年2.8回という。盆・正月と彼岸すべて墓参するのが難しい現実が垣間見える。墓のある故郷から遠く離れて暮らす人の場合、年1~2回訪れるのも大変だ。
気になる場合は「掃除代行サービス」を利用する手段もある。代行業者のひとつ、関東グレイブキーパー代表の広瀬清氏はこう話す。
「サービスの内容は草むしりや植木の伐採、墓所の清掃などの代行です。当社の場合は1時間5000円か2時間8000円の基本コースで承っています。依頼者の多くは遠方にお住まいで墓参できない方です。お彼岸やお盆の時期に年3~4回のご依頼をいただきます」
※週刊ポスト2014年9月19・26日号