「測量学の世界的権威」で東大名誉教授の村井俊治氏は、全国で約1300あるGPSの電子基準点のデータを追跡して地殻の微少な変動を計測し、地震の「前兆現象」をとらえている。村井氏は、5月5日以降、計4回発生した震度5以上の地震をすべて的中させていた。
地震学の世界は、「地震ムラ」とも揶揄される閉鎖性で知られる。旧態依然とした研究に拘泥する研究者たちが年100億円もの予算を分け合う既得権益にしがみついている。そのため、村井氏のような部外者は「地震学者でもないくせに」「正確性のない占いのようなものだ」「ノイズのような数値を使って不安を煽っている」などと批判を浴び、無視され続けている。
それでも村井氏が予測を止めないのは、東日本大震災の教訓があるからだ。村井氏は、3.11の前にもその予兆を見つけていた。
「3.11の半年前から、太平洋側の電子基準点が次々沈降するという現象が起きていました。しかし“パニックになるのではないか”と恐れて、注意を呼びかけることができなかった。その結果、1万8700人もの死者・行方不明者が出てしまった。学者としてこれほどの無念はない。ですから測量学者としての地位も名誉も失っても、信念に基づいて異常を公表すると決断したのです」(村井氏)
孤独な発信を続ける村井氏だが、地道な的中実績の積み重ねもあり、無報酬で続けるメールマガジン『週刊MEGA地震予測』の会員数は着実に増え続けて、現在の購読者は2万1000人を数える。村井氏は宣言した。
「今後は、自分が得られるデータはできる限り詳しく公表していこうと思っています。日本はこれまでも、これからも、世界で最大のリスクを抱える災害列島です。私のデータ・分析を自衛のために少しでも役立ててほしい」
■村井氏が顧問を務めるJESEA(地震科学探査機構)では毎週水曜日にメルマガ『週刊MEGA地震予測』を月額216円で発行している。詳しくはhttp://www.jesea.co.jp/
※週刊ポスト2014年9月19・26日号