国立社会保障・人口問題研究所(2010年度調査)によれば、世帯主が75歳以上の世帯は、全国に730万8000世帯ある。そのうち単独世帯(1人暮らし)が269万3000世帯、夫婦のみの世帯は225万4000世帯となっている。つまり合わせて約500万の世帯は「老人だけ」で暮らしているということになる。
近い将来、この500万世帯は「墓をどうするか」という問題に直面することになる。別居する子供がいる場合は「墓の引き継ぎ」をすることになる。「実家の墓」を維持していくには当然費用がかかる。
墓地に払う管理費は、年間数千円から高くても3万円程度が相場とされる。「それぐらいなら……」と胸をなで下ろすのは早計だ。「帰省しての墓参や掃除」をこなそうとすれば負担は何倍にもなる。
かといって、実家の墓を放っておくわけにもいかない。管理費の支払いを滞らせると、管理主から「無縁墓」と見なされ、強制的に墓を撤去されてしまう可能性がある。
無縁墓は全国で増加傾向にある。東京都の都立霊園では、2012年度に約350基の墓を撤去。この5年間で約1000基を整理したという。
過疎化が進む地方はより深刻だ。昨年、熊本県人吉市が市内の墓地995か所の現況調査を行なったところ、全1万5123基のうち実に4割の6474基が無縁墓だったことが判明した。山の奥地にある墓地では、なんと8割が無縁墓になってしまったところもあったという。
※週刊ポスト2014年9月19・26日号