「2015年・年金大改悪」の議論は、なぜか霞が関ではない場所でひっそりとスタートした。ほとんど報じられていないが、8月20日、厚生労働省の社会保障審議会年金部会が東京・南青山にある「農水省共済組合南青山会館」の会議室で開かれた。
同部会が開かれたのは、5年に1度年金財政を点検する「財政検証」が発表された直後の6月下旬以来、約2か月ぶりのこと。財政検証で打ち出された「受給額をもっと減らさなければ年金制度は維持できない」というシナリオに基づき、いよいよ本格的に「年金大改悪法案」作りに着手したわけである。
まず、現在65歳となっている受給開始年齢を引き上げるのは厚労省の悲願だ。年金博士として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。
「2020年の東京五輪までは景気が上向くことが予想されます。そのドサクサの中で政府は『高齢者の雇用も増えてきたから』などと理屈をつけて、67~68歳への引き上げを決めるでしょう。
5年後の2019年に行なわれる財政検証を機にそれが決定されると見ています。さらに厚労省はその先に『70歳受給開始』も視野に入れています」
過去、定年が55歳から60歳まで引き上げられた際に、受給開始年齢も60歳から65歳へと引き上げられた。
2012年には企業に65歳までの雇用を義務づける改正高年齢者雇用安定法が成立したが、それこそ「70歳受給開始」への布石といえる。
※週刊ポスト2014年9月19・26日号