9月3日の内閣改造では過去最多となる5人の女性閣僚が起用されたことが大きな話題となったが、この改造は株式市場にどんな影響を及ぼすのだろうか。世界最大の証券会社メリルリンチでトップランクの営業成績を収めた経験をもつ国際金融コンサルタント・菅下清廣氏は、こう予測する。
「この内閣改造により、日本株は“アベノミクス第2ステージ”を迎え、再び上昇トレンドに向かいます。特に東証2部やマザーズ、ジャスダックなどの新興市場では、3倍、4倍に株価を伸ばす銘柄が出てくるでしょう」
2012年末に始まったアベノミクス相場で日本株は一本調子の上昇が続き、2013年末には日経平均株価も1万6320円の高値を記録した。だが、今年に入ってからは軟調な展開が続き、いまだ年初来高値を更新できずにいる。菅下氏が今回の内閣改造で最も注目している起用は、首相の盟友である塩崎恭久氏を厚生労働相に据えた点だ。
「日本株が長く膠着している原因は、日銀による大規模金融緩和というプラス材料と、消費税増税による景気減速というマイナス材料が綱引きを続けているためです。この現状を打ち破って、株価を再び上昇させるには、かなりインパクトのある材料が必要。そのために、塩崎氏を厚労相に起用して、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用を国内株式に大胆に振り分けようとしているのではないでしょうか」(菅下氏)
GPIFは、日本の年金積立金127兆円を運用し、「世界最大の機関投資家」とも呼ばれている。これまでは資産の6割を日本国債で運用する“安全運転”を続けてきたが、株式などのリスク資産を増やす方向で改革議論が進んでいる。塩崎氏はそのGPIF改革の急先鋒で、厚労相に就任するや「ベンチャー投資も充分ある」などと発言して市場を沸かせた。
「外国人投資家は“日本買いだ”と色めき立っています。ただ、改革の具体案をまだこれからで、東証1部が上昇を始めるのは少し時間がかかるとみています。そこで先行して買われているのが、東証2部やマザーズ、ジャスダックなどの新興市場の中・小型株。特に、IT銘柄やバイオ関連、不動産などの銘柄が注目を集めています」(菅下氏)
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