セ・パともに優勝争いチームは数チームに絞られてきた。これからはいよいよ1試合1試合が優勝を左右する大事な時期だが、OBの中には古巣に対して厳しい目を向ける人もいる。阪神タイガースOBの岡田彰布氏は、今年度の和田・阪神についてこう述べている。
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大事なのは最後のこの時期の頑張り。これはチームでも個人でも同じやで。オレが監督の時には、この時期には選手たちに「個人成績を上げたらエエ」とハッパをかけた。「これまでの成績が悪い者は特に今から帳尻合わせせい」と繰り返しいうたもんやね。
こんな時になってミーティングで「チームとしてこうしていこう」とか「大事な試合が続く」なんていうたことはない。そんなもん、関西のスポーツ紙は頼まんでも煽ってくれるから、口に出さんでも選手はわかっとる。選手には個人の目標に向かわせるほうが結果としてチームの力になるのよ。
これから先は「拾う」ゲームが大切になる。そら、先発が踏ん張ってリードしたまま勝つのが理想やけど、毎回そうはいかん。序盤で負けていても、中盤、終盤に逆転して、1試合でも拾っていけるかが重要なんや。
そこで出てくる不安要素が「キャッチャー」やな。今のところ若い梅野隆太郎を使っとるが、これが今後、仇となる可能性が高い。これまでは梅野が新人ということもあり、相手もよう分からんかったからうまくいった部分が大きい。
しかし8月の試合を見る限りでは「すでにかなり研究されとるな」と思えるような痛打を浴びる場面も多かった。キャッチャーに限っては、本当は経験のあるヤツがドーンと構えてくれた方がエエんやけどな。
ピッチャーは中継ぎがポイントになる。踏ん張れんピッチャーはブルペンに入れたらアカン。捨て試合はできへんのやから、ビハインドの試合でも勝ちを狙っていくことや。
巨人と広島だけを見てたらどこかにスキができて、足をすくわれるで。初めてのチャンスに燃える横浜も怖いし、尻に火がついた中日も油断はできん。阪神に「お客さん」はおらん。これを肝に銘じておかなアカンで。
※週刊ポスト2014年9月19・26日号