中国共産党は10月、北京で第18期党中央委員会第4回総会(4中総会)を開催するが、総会では中国人民解放軍最高指導部の大幅な人事異動が発表される見通しだ。米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「博訊(ボシュン)」が「独自情報」として報じたもので、軍トップの習近平・国家主席による軍権掌握が飛躍的に進むとみられる。
習近平指導部は今年6月末、軍の制服組トップだった徐才厚・元中央軍事委員会副主席が「重大な党規律違反」で取り調べを受けており、党籍剥奪の処分を下したと発表している。その後、7月末には党最高指導部の政治局常務委員を務めた周永康・元党政法委書記も同じく身柄を拘束され、取り調べを受けていることが発表された。
これは習氏が常々語っていた「トラも蝿も一緒に叩く」という腐敗幹部摘発を実行したもの。さらに、軍内では少将以上の軍幹部200人あまりが取り調べを受けており、このなかには、常万全・国防相も含まれているという。
このため、「次は我が身か」と軍の高級幹部は震え上がり、習氏に忠誠を誓うようになった。この結果、習氏は軍の人事権を完全に掌握したと博訊は伝えている。
気になる軍の最高幹部人事だが、失脚が確定的な常万全氏の後任には劉亜洲・中国国防大学政治委員が就任。また、中央軍事委副主席には劉源・総後勤部政治委員と劉福連・北京軍区政治委員が昇格し、現在、副主席の張佑侠、許其亮の両氏は留任する。これで副主席は2人から4人に増員される。
総参謀長は房峰輝氏、総政治部主任は張陽氏、ロケット戦略部隊司令官は魏鳳和氏がそれぞれ留任。総装備部長は蔡英挺・南京軍区司令官、海軍司令官には孫建国・総参謀部副部長、空軍司令官には乙暁光・総参謀長補佐、総後勤部長には劉錚・総後勤部副部長がそれぞれ昇格する。
ところで、常万全氏は「次に打倒される大トラ」(博訊)とされているが、すでに身柄を拘束され公判を待っている徐才厚氏や谷俊山・元総後勤部副部長の腐敗事件に関与しており、「谷氏から約10億元(約170億円)もの賄賂を受け取った」と博訊は伝えている。