人気番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京系)で、自由奔放な蛭子能収と個性豊かなマドンナを纏め上げていく、頼れるリーダー役の太川陽介。とはいえ、蛭子の自由過ぎるふるまいを見て、何も感じていないわけはない。ときには蛭子に苦言を呈することもある。太川の新刊『ルイルイ仕切り術』(小学館)より、“蛭子能収級にイライラする人”への対処法を紹介する。
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路線バスの旅には“魔の3日目”といわれているジンクスがあるんですよ。3日目にはよく大変なことが起きるんです。それこそ台風が大接近してきたり、昼過ぎに早くもその日に乗れるバスがなくなってしまったり。でも最初に“魔の3日目”という言葉が生まれたのは、そういう交通的なアクシデントからではなくて、人間関係が気まずくなってしまったことからなんです。
そもそも友人同士でも3日間も一緒に旅をしていると、しだいに関係がギスギスしてくることってあるじゃないですか。それと同じようにボクと蛭子さんの関係が3日目に悪くなってしまった時があったんですね。
まぁ最初にボクが蛭子さんにイライラしてしまったのが原因です。とにかくボクは次のバス停に行ってみなきゃわからないから、行ってみようって提案すると、「行って次がなかったらどうすんですかぁ~?」なんて前向きじゃないこというし、なにかというと、「もう乗り継げないんじゃないのぉ~?」 なんて悲観的なことばっかりいうんですよ。 それでボクのイライラも頂点に達するのが、3日目だったんですね。
でも蛭子さんにイライラしている自分が嫌になってしまったんですね。それに蛭子さんにイライラしているボクと一緒に旅をしなければいけないマドンナにも申し訳ないな、と思いましたし。だいたい考えてみれば、悲観的だろうと前向きじゃないことをいおうと、それが蛭子さんの個性なんですから。あの個性がなければ蛭子さんじゃないんですから。
みなさんも、時にはどうしようもなくイライラする人と出会うことがあると思うんです。 そういう時は潔くあきらめる。あきらめて、そういう個性の人なんだ、と大きな心で受け入れる。そしたら、最近は本当にあまりイライラしなくなったんです。
でも本当のこというと、ちょっとは毎回イライラしてるんですよね。でも、それが蛭子さんだからしょうがない。みなさんは蛭子さん級の人には一生会うことはないと思うので、安心してください。
※太川陽介・著『ルイルイ仕切り術』(小学館)より