今年7月末に発表された、2013年の日本人の平均寿命は、女性86.61才(世界1位)、男性80.21才(世界4位)。いずれも過去最高を更新し、男性は初めて80才を超えた。
しかし、手放しでは喜べないデータがある。じつは健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は、男女ともに、平均寿命より10年前後短い。つまり、生きてはいるけれど、人生最後の10年間は寝たきり…という状態も考えられるわけだ。
それでは、健康寿命を延ばし、元気で自立した老後を送るにはどうすればいいのか。
「大切なのは、やはり食事。それもたんぱく質をきちんと摂ることです」
そう語るのは、公認スポーツ栄養士のこばたてるみさん。
「たんぱく質は、筋肉や内臓、骨など、体をつくる主栄養素であると同時に、体を機能させるうえでも欠かせません。免疫や生体防御反応とも密接な関係があり、たんぱく質が不足すると、疲れが取れない、風邪をひきやすいといったトラブルも起きやすくなるんです」
また、食事とともに大切なのが運動。メタボも心配だが、昨今では筋肉量の減少によって歩行などに支障が出る、ロコモティブシンドロームが大きな問題になっている。
「これも筋肉をつくる材料=たんぱく質不足が一因なんです」(こばたさん。以下「」内同)
では、たんぱく質はどれくらい摂ればいいのだろうか?
「一般の人であれば、体重1kgあたり1日に、たんぱく質1g程度。50kgの人なら1日に50gがひとつの目安。ただ、運動している場合は、体重1kgあたり1gでは足りないので、2gを上限にもう少し摂ったほうがいいですね」
では、たんぱく質なら何でもよいのだろうか。
「たんぱく質を合成するアミノ酸は全部で20種類ありますが、そのうちの9種類は、体内でつくることができないため、食物から摂る必要があります」
この種類のアミノ酸を必須アミノ酸という。ご飯やパンにもたんぱく質は含まれているものの、9種類のアミノ酸の構成に偏りがあるのが難点。
一方、牛乳や肉、魚、卵などの動物性たんぱく質は、9つの必須アミノ酸値が高スコアでバランスよく含まれ、吸収率も抜群だという。
とはいえ、一度に動物性たんぱく質を大量摂取するのは逆効果。また食品によってたんぱく質の含有率も吸収率も違うので、朝、昼、夜とまんべんなく摂るのが理想的だとこばたさんは言う。
「1食に摂取するたんぱく質は20gが目安。豚肉や鶏肉などの肉なら100g、大きめの切り身魚なら1切れ、いわしなど小さめの魚なら1尾で、だいたい20gのたんぱく質が摂れます」
さらにおすすめの優秀食品は牛乳だという。
「牛乳ならコップ1杯(200cc)で約7gのたんぱく質を手軽に補えます。忙しい時など、食事を軽く済ませてしまうと、たんぱく質は不足しがち。食事に牛乳をコップ1杯プラスするだけで、手軽に良質なたんぱく質を摂れるのでいいですね」
もちろん1日にいつ飲んでもOK。運動後に牛乳を飲めば、筋力アップにもつながる。
※女性セブン2014年9月25日号